『vesta』134号「ミツバチとハチミツの食文化」

『vesta』134号

「ミツバチとハチミツの食文化」

2024.04.12
特集アドバイザー 眞貝理香(総合地球環境学研究所 外来研究員)

「ミツバチやハチミツのことを知ると、人生はもっと楽しくなります!」などというと、何やら怪しい自己啓発の宣伝文句のようですが、これは少なくとも私の実感です。
 本特集は、食品としてのハチミツという視点だけでなく、「人とミツバチ・ハチミツの関わり」「それを取り巻く様々な生物、環境」という、複眼的な視点で編集されています。
 一匹の小さなミツバチの能力に驚き、さらに群としての社会性に驚き、ミツバチと植生、他の昆虫や環境の関わりを知ると、網の目のような生態系が可視化され、自然や社会を見る「解像度」まで上がるかもしれません。
 ハチミツが時代や地域により、様々に利用されてきた歴史や各地の食文化の面白さ、そしてハチミツ自体の、色・香り・味・舌触りの実に多様なこと!
 ハチミツは、ミツバチと地域の自然が織りなした恵みそのものです。
 ハチミツも本特集も、視覚・嗅覚・味覚・触覚、それにミツバチの羽音(聴覚)までご想像の上、「五感」で楽しんでいただけたら幸いです。
Ⅰ 養蜂の歴史・食文化
 1 ミツバチ世界への誘い 生体の基本と貢献/佐々木 正己
 2 世界と日本の養蜂の歴史/眞貝 理香
 3 日本と世界の養蜂文化を知る -養蜂博物館(愛知県・瀬戸市)井上コレクション-/眞貝 理香
Ⅱ 世界と日本におけるハチミツの利用法
 1 ニホンミツバチと人が共生する対馬の養蜂/高田 陽
 2 東南アジア大陸部における人びととミツバチ資源の利用/園江 満
 [コラム]蜜湯の仏事と梅湯のもてなし -ニホンミツバチを飼育する寺 真福寺(京都府亀岡市)-/眞貝 理香
 3 ドイツのミツバチと食文化/クリストフ・ルプレヒト
 [コラム]古代から続く味 スペインのハチミツの歴史とアラフー/小倉 真理子
 [コラム]ミツバチ豆知識/編集部
 4 神様によって調理された食べ物 -アフリカ熱帯林のハチミツ採集文化/大石 高典
 5 日本のミードの現状とこれから/一般社団法人 日本ミード協会
 [コラム]ハチミツ専門店の立場から/大久保 ひとみ
 [コラム]ハチミツでもっとおいしく/編集部
 [コラム]偽ハチミツを探せ!ハチミツ分析の最先端/高橋 純一
 6 ハチミツの味/塩尻 かおり・高田 知紗・永井 美沙希
Ⅲ ミツバチと共に暮らす
 1 私たちの食を支えるポリネーター・生物多様性の重要性/滝 久智・永野 裕大・夏目 佳枝
 2 なごや文化のみちミツバチプロジェクト-高校生による養蜂と商品開発-/柘植 政志
 3 日本の養蜂業界、これまでとこれから/中村 純
特集まとめ ミツバチとハチミツ -「多様性」と「テロワール」が支えるもの/眞貝 理香

<連載>
☆台所史探訪(8)「標準化/規格化と大量生産への流れ」/須崎 文代
☆大食軒酩酊の食文化(第64回)「喫煙室」/石毛 直道
☆文献紹介 足立 己幸=編著、衛藤 久美=著『共食と孤食 50年の食生態学研究から未来へ』/江原 絢子

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