『vesta』141号「ジビエの世界」

『vesta』141号

「ジビエの世界」

2026.01.13
特集アドバイザー 押田敏雄(麻布大学 名誉教授)

 「ジビエ」と言うカタカナ言葉を聞くようになりました。その語源はフランス語で野生鳥獣肉を意味します。代表的なジビエは日本ではシカとイノシシがあげられますが、他に、クマ、カモ、キジ、ウサギなど、我々が想像もつかないようなものもジビエとして扱われます。
 ジビエが注目される理由として、鳥獣被害対策(2019年の被害額は158億円)で捕獲された鳥獣を単に廃棄するのではなく、例えば「食材として有効活用する取組み」とその栄養特性があります。ジビエは一般的な肉に比べて脂肪が少なく、鉄分が豊富で、特に鹿肉は、身体に吸収されやすいヘム鉄を多く含み、貧血が気になる方にも良好とされています。
 ジビエの定義、歴史、鳥獣の捕獲、世界のジビエ事情、栄養、安心安全の担保、食用以外の利用、そしてこれからのジビエの在り方について整理し、考えてみませんか。
世界で出会ったジビエ料理
Ⅰ ジビエの歴史
 1 ジビエとは/押田 敏雄
 2 武士の狩猟と獣肉食/中澤 克昭
Ⅱ ジビエをめぐる世界
 1 ジビエが食卓に届くまで-捕獲と食肉処理の現場から/鮎澤 簾
 2 ジビエの加工 シカ・イノシシ肉の利用と研究例/坂田 亮一
 3 ジビエ流通のしくみ/小林 信一
 4 ジビエの味は風土と個性の結晶―食肉の背景を味わう/鮎澤 簾
 5 スイスの秋の風物詩「ジビエ」は自然からの贈り物/小島 瑞生
 6 ニカラグアのジビエ料理とその変遷/バレーラ 由美子
 7 マレーシアのジビエと宗教/森 純
 8 南アフリカの食肉文化 狩猟採集時代から政府戦略/村上 未来
 9 命と栄養のかたち 自然が育てた肉を食べるということ/上薗 薫
10 野生動物を食卓へ ジビエの安全と制度の整備/森田 幸雄
Ⅲ ジビエの未来
 1 山の恵みを食卓へ-国産ジビエ認証制度が支える食の安全/鮎澤 簾
 2 人間と野生動物の共存を目指して-駆除個体の資源利用という選択/竹下 毅
 3 これからのジビエ/祐森 誠司
特集まとめ ジビエ、召し上がりませんか?/押田 敏雄

<連載>
☆「伝えたい残したい日本の味」(第3回)「すき焼き」/向笠 千恵子
☆大食軒酩酊の食文化(完)編集部インタビュー 連載を終えて/石毛 直道

☆文献紹介 治部 千波=著『<食べ方>の文化史-宮廷の作法が社会のマナーとなるまで』/八木 尚子

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