『vesta』133号「世界の珍味、日本の珍味」

『vesta』133号

「世界の珍味、日本の珍味」

2024.01.12
特集アドバイザー 伊藤 文(日仏記者協会APFJ会員)

「珍味」という言葉には、人々を冒険に誘う魅惑的な響きがある。珍しく尊いもの。人間には稀少かつ貴重なものを求める強欲がある。それゆえ、風変わりな食べ物と表裏一体という側面もある。
 秦の始皇帝は「不老不死」の幻の仙薬を探し求め、唐・玄宗は楊貴妃のため、途方もない遠方からライチを取り寄せた。江戸時代の日本では、「百珍」と名のついた料理本が出版された。有名なのは「豆腐百珍」や「卵百珍」。料理人しか知り得ない秘伝が記されている。
 トリュフ、フォアグラ、キャビアは言わずもがな世界の三大珍味だ。しかし、科学の進歩や環境問題によって、取り巻く景色は変わりつつある。人は火をおこすことを知ってから、生命の存続と食欲の限界に挑戦してきた。その挑戦を掻き立ててきた珍味から、人間の文明、文化の今昔を垣間見たいと思う。
Ⅰ 珍味とは
1 「世界三大珍味」不在の中世ヨーロッパのごちそう/山辺 規子
2 中国の「珍味」/山中 一男
3 日本近代「珍味」考 ~明治・大正期の文献を中心として~ /東四柳 祥子
[コラム]珍味の大好きな日本人/永山 久夫
Ⅱ 日本と世界の珍味
1 日本の珍味、令和の今様/向笠 千恵子
2 世界の珍味「カラスミ」の魅力/山口 敦子
[コラム]スペイン海の幸、イベリア半島の知られざるグルメ/小池 ケイコ
[コラム]タイ珍味物語/梅本 昌男
3 キビア 北グリーンランドの生活の知恵/林 直孝
4 サボテンの魅力/堀部 貴紀
5 フランスの珍味/門上 武司
Ⅲ 未来につながる珍味
1 世界三大珍味の変容/伊藤 文
2 世界に誇る日本のキャビア/山口 浩
3 珍味とお酒のペアリング/川崎 寛也
特集まとめ 閉店した鮎名店のうるかと珍味の未来/伊藤 文

<連載>
☆台所史探訪(7)「大正時代の台所と生活改善運動」/須崎 文代
☆大食軒酩酊の食文化(第63回)「握り飯」/石毛 直道
☆文献紹介 佐々木 敏=著『行動栄養学とはなにか?-食べ物と健康をつなぐ見えない環(リング)を探る』/津金 昌一郎

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