『vesta』129号「来るべき未来の食」

『vesta』129号

「来るべき未来の食」

2023.01.12
特集アドバイザー 村橋 勲(静岡県立大学国際関係学部 助教)

 18世紀末、経済学者のマルサスは、人口増加に食料生産が追いつかなくなり、いずれ食料不足が起きるだろうと予測した。幸い、今のところこの予測は当たっていない。
 今日、私たちは、品種改良、機械化、化学肥料や農薬の使用により、数十億人を養う食料を確保できるようになった。しかし、今度は、飽食というこれまでにない問題に直面している。 大量の食料を調達するため、大がかりで自然に手を加えた結果、地球環境が変わり、自然の恵みは稀少になりつつある。また、糖分や脂肪分の多い食品により肥満や不健康に悩まされるようになった。  
 新たな創意工夫と選択が求められている。問題を解決するのは、新たな食品技術か、食生活を変えることか、それとも、食料生産と自然のサイクルとの折り合いをつけることなのか。 今回の特集は、ふだんの食生活や食をとおした人間と自然とのかかわり合いについて見直す機会を与えてくれるだろう。
Ⅰ 新しい食べ方・新しい食材
[トピック] 新しい食べ方を提案する三つ星レストランの挑戦/編集部
 1 海藻食の未来を見つめて 〜スローフード世界大会の現場から/宮本 さやか
 2 日本の誇る資源、昆虫 〜昆虫食の今とこれから〜/水野 壮
 3 未来の食を創る科学と技術/石川 伸一
Ⅱ 食を取り巻く環境の昔と今
 1 アフリカにおける食料問題とそのゆくえ/村橋 勲
 2 世界的な食料事情に及ぼす気候変動の影響/吉田 蒔絵
 3 持続可能な食資源のための活動/木附 誠一
Ⅲ 食資源の未来に向けて
 1 水産エコラベルを活用し、日本の漁業を持続可能に/鈴木 允
 2 豊かな海と魚食文化を守るために/佐々木 ひろこ
 3 パリと近郊の都市農業 〜そのさまざまなかたち/羽生 のり子
 4 食農体験はこれからの都市をどう変えるのか? /小野 淳
特集まとめ 未来の食を考える 村橋 勲

<連載>

☆台所史探訪(第3回)「台所近代化の幕開け」/須崎 文代

☆大食軒酩酊の食文化(第59回)「寝床人生」/石毛 直道

☆文献紹介 伏木亨(編)『食の現代社会論 -科学と人間の狭間から-』
     /坂井 信之

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