『vesta』128号「和菓子文化の魅力」

『vesta』128号

「和菓子文化の魅力」

2022.10.12
特集アドバイザー 橋爪 伸子(同志社大学 経済学部非常勤講師)

 一年の折節や人生の節目には、餅や団子に攘災招福の願いをこめる。日々のくらしでは上生菓子に季節の移り変わりを、地域名菓に旅先の情景を、包みも美しい到来物の菓子折に贈り主の思いを感じ、その時々の場面と菓子がともに心にきざまれていく。和菓子は老若男女全ての人びとにとって身近な存在で、それぞれの人生において思い出と重なる特別な食べものである。
 こうした日本の菓子は、神へ供えた餅や団子、果実に始まる。その後外来の食文化を段階的にとりこみながら発達し、後に和菓子とよばれる日本固有の菓子が江戸時代に完成する。その後も社会のさまざまな影響を受けて展開しながら継承され、いまや海外でも人気である。
 願いをこめるものとして始まり、時代ごとに新しい価値をとりこみつつ変容し続ける和菓子の、多様で奥深い魅力を探ってみたい。
Ⅰ 和菓子文化の根源
 1 日本の自然の中ではぐくまれた和菓子/江原 絢子
[トピックス]和菓子の歴史&種類/編集部
Ⅱ 世界から見た和菓子
 1 和菓子にお可能性を考える G20における海外賓客の接遇から/上元 純一
 2 フランスにおける和菓子の現状と魅力/セシル・ディディエジャン
 3 ニューカレドニアに移住して始めた茶道教室、そしてカラフルな和菓子
   /川村 美砂子
Ⅲ 和菓子の歴史
 1 和菓子文化の華 17世紀にさかのぼる上菓子の特徴/中山 圭子
 2 近世後期における和菓子の展開/青木 直己
 3 近代における和菓子の進展/橋爪 伸子
Ⅳ 和菓子の伝統と進化
 1 <インタビュー> 伝統と守りひたすらにうまい菓子を作る
   /柴田モナカ本舗(聞き手:橋爪 伸子)
 2 脱酸素剤の登場による郷土銘菓の発展/森田 和馬
[トピックス]多様化する和菓子/編集部
特集まとめ 思いと価値を五感で味わう ―和菓子文化の魅力/橋爪伸子

<連載>

☆台所史探訪(第2回)「明治の台所改善は《衛生》から」/須崎 文代

☆歌舞伎のレシピ(最終回)「アラカルト」/堀越 一寿

☆大食軒酩酊の食文化(第58回)「スープは、食べる?飲む?」/石毛 直道

☆文献紹介 朝倉敏夫(編著)『食の人文学ノート -日韓比較の観点から-』
     /南 直人

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