
『vesta』111号
「食の分岐点」
2018.07.12
特集アドバイザー 藤本憲一
古今東西、人類が築きあげてきた食のシステム......制度・経済・技術・産業構造から、
習慣・マナー・嗜好に至るまでが、まさに存続の危機に瀕し、イノベーションの波に
洗われ、変革を迫られている。
この分岐点に、立ち止まり続けるのはきわめて難しい。だとすれば、進むべきか
退くべきか。向きを変えるなら、左右どちらか。
そして岐路の選択は専門家にまかせるのでなく、われわれ全員が舵取りをになう
べきではないか。
まず本特集で、進むべき指針やオピニオンに耳を傾け、食文化の潮流のせめぎあいを
つぶさに見つめたい。
<特集>
・巻頭 家庭の食はどのように変わってきたか。
・アイデンティティ・フード/井上 雅人
・地域資本としての食文化
─宮城県南三陸町の「キラキラ丼」と「さんこめし」を例として/小林 哲
・もう一つの農産物流通:直売所への期待/中嶋 康博
・我々の食のこれから ─酪農王国北海道から/石井 智美
・ラッコの食卓2018 ─社会動向から食文化を読む/藤本 憲一
・栄養士・管理栄養士教育と食文化 ─学校給食を例に/江原 絢子
・未完の学校給食/藤原 辰史
「食の文化フォーラム」卒業生からの一言
・食品と医薬品の狭間で…/飯野 久和
・グローバル化がもたらす食の多様性/岩田 三代
・教養の力/佐藤 洋一郎
・伝統的な魚食文化継承の意義/印南 敏秀
・増える訪日外国人と和食/半田 章二
・成るようにしかならない/前川 健一
・食文化の本質とは何か/山極 壽一
・食をめぐる健康格差とその背景/髙田 公理
・ヴィーガンが問いかけるもの/北山 晴一
・食の分岐点2018 ~まとめにかえて~/藤本 憲一
<連載>
大食軒酩酊の食文化/石毛 直道
(第41回)石包丁について
“食べる”を予測する/岩村 暢子
(最終回)食卓の変化とその背景
すべての道は「食」に通ずる -イタリア-/宇田川 妙子
(第6回)料理と男らしさ・女らしさ
嗜好品の文化論/髙田 公理
(第5回)諸民族文化のなかの嗜好品②
食でひもとく浮世絵の楽しみ(第1回)/林 綾野
文献紹介 橋爪伸子著 『地域名菓の誕生』/中山 圭子