『vesta』86号
「世界を旅するスパゲティー」
2012.04.10
責任編集 前川健一(ライター)
スパゲティーは謎の食材である。出自と成長の過程がよくわからない。世界各地に広まり、イタリア人にとっては「おぞましき食べ物」に変容するほど身近な料理になっている。そして、スパゲティーの謎解きの過程もまたおもしろそうだという予感は、見事に当たった。
スパゲティーを軸に、世界の食文化とアメリカの余剰農作物との関係や、クタクタになるまでゆでるパスタと「消化の良さ」が至上の西洋料理の関係など、さまざまな分野の研究者が、今後もスパゲティーから見える世界を描いていけば、食文化研究の幅がもっと広がるような気がする。
(巻頭言より)
日本スパゲティー事始め 編集部
マカロニからスパゲティーへ―明治以後の料理書に見るレシピから 編集部
アルデンテなんて知らないよ―世界のスパゲティー 前川健一
日本と世界のスパゲティー事情 編集部
各国のスパゲティー①イタリア スパゲッティはダンテを超えた「イタリア文化」 山辺規子
各国のスパゲティー②韓国 スパゲティにはピクルスを添えて 守屋亜記子
各国のスパゲティー③北アフリカ エジプトの国民食コシャリ 田中真知
各国のスパゲティー④イギリス イギリス人の郷愁の味「スパゲッティ・オン・トースト」 斎藤理子
各国のスパゲティー⑤オーストリア周辺 ウィーンのスパゲティ事情 髙田公理
各国のスパゲティー⑥ペルー 料理大国ペルーのタリャリン利用について 高野 潤
各国のスパゲティー⑦アメリカ 心のスパゲティ 東 理夫
狗肉の食とそのタブー 下・最終回 喰われる犬、飼われる犬 山田 仁史
大食軒酩酊の食文化15「サソリを食う」 石毛 直道
食べる人たち18 「モボ&モガの正統なる嫡子」 ゲスト・五味太郎/聞き手・宇田川 悟
医食同源の道草1 「料理」のルーツ 真柳 誠
生業社会の食文化2 パプアニューギニア高地のブタ 梅崎昌裕
昔話に見る食12(最終回) 「花咲か爺」 石井正己