
『vesta』78号
「郷土食の読み方 」
2010.04.10
責任編集 古家 晴美(筑波学院大学准教授)
「あなたがイメージする郷土食は?」と聞かれたら、どう答えるだろうか。昔から受けつがれてきた伝統的な味、旅先で食べる地方の名物料理、ふるさとを思い出させるもの、あるいは平成19年に選定され「農山漁村の郷土料理百選」を真っ先に思い描くかもしれない。
家族の日々の糧であった「郷土食」にいつの間にか農村振興、食育など様々な社会的なお役目が期待されるようになった。
また、調理・加工・消費の場・素材や味付け、伝承の仕方、それに対する評価などについても、多様な変化を遂げつつある。
現代社会におけるそのような郷土食のあり方について読み解いてみたい。
(巻頭言より)
受けつがれる郷土食 生まれる郷土食
①華麗に進化し続ける 房総の太巻き祭りずし
②郷土料理を活字で伝える 『ごっつぉうさん 伝えたい宮城の郷土食』
③レストランから家庭へ 延岡市の「チキン南蛮」
④家庭から仕出し屋に 土佐の皿鉢料理
⑤都会でのビジネス 自治体アンテナ・ショップ
(編集部)
郷土食とは何か 古家晴美
郷土食の現況1 ジンギスカンとルイベ(北海道) 小田嶋政子
郷土食の現況2 朴葉寿司とカスめし(岐阜県) 福田美津枝
郷土食の現況3 ひき継ぎたい滋賀の郷土食(岐阜県) 堀越昌子
学校給食の役割の変遷 靍 理恵子
日本の地域産業おこしと「食」 遠山 浩
テレビと郷土食 常木暎生
ギイ・マルタンに聞く フレンチ・ガストロノミーに息づく郷土の味覚 平野いづみ
郷土食の課題 古家晴美
〔レギュラー〕
イギリスの料理はなぜまずくなったのか?① 本城靖久
錦絵が語る食文化⑧ 高名会亭河内屋 飯野亮一
大食軒酩酊の食文化7 ウルシを食べる 石毛直道
食べる人たち 10 食通は貪欲な好奇心から ゲスト・逢坂 剛 /聞き手・宇田川 悟
昔話に見る食文化4 舌切り雀 石井正己
文献紹介大竹 道茂著『江戸東京野菜』 江頭宏昌
文献紹介ヨーロッパ食文化研究のために
31C.Scholliers&L.Van Molle 編『土地、店、台所:20世紀ヨーロッパにおけるテクノロジーとフードチェーンの関係』 K.チフィエルトカ