
『vesta』52号
「学校のお昼ごはん」
2003.10.10
責任編集 江原 絢子(東京家政学院大学教授)
表紙画:奥山民枝
学校給食はいつの時代にも話題に事欠かない。
20年前からの新聞記事をみると、どの年にもみられる記事が食中毒である。また、父母や市民団体からの要望、陳情の記事も驚くほど多い。センター方式に反対して自校方式を求める運動、民間依託反対の署名運動、弁当選択制の要望等々。国や地方から提示される方針が父母などの要望とは隔たっているということでもある。
しかし、肝心の子どもたちの声は届きにくい。学校給食という枠をこえた「学校のお昼ごはん」をながめて見ると、そこによせる子どもたちの思いは、いつの時代もそれほど変わっているようには思えない。その声を聞いてみたい。 世界の子ども、ずっと昔の子どもの思いも。
(「特集によせて」より)
総括 学校のお昼ごはん 江原絢子
海外編・ネパール「都市化が変える学校のランチタイム』 神保 映
海外編・オーストラリア「ヘルシーメニューで自立した子どものランチ」 ミッシェル・ホール
海外編・フランス「グルメの国のランチ」 岡野洋子
海外編・ブラジル「国家政策としての給食」 森 幸一
海外編・タイ「山村・近郊・都市の小学校の昼食」 宇都宮由佳
海外編・台湾「始まったばかりの給食制度」 張 玉欣
海外編・韓国「チャルモケスムニダ(いただきます!)」 朴卿希
海外編・アメリカ「アリス・ウォーターズの食べられる校庭」 本間千枝子
海外編・「子供の"食"をながめてみれば」 森枝卓士
日本の学校給食の現在(小中学校) 岡崎光子
給食の思い出(エッセイ&写真) 高橋久仁子/夏目惠子/野林厚志/東四柳祥子
学校給食の食文化的取り組み 阿部裕吉
〔レギュラー〕
カラー企画 世界の食の情景8・セネガル「チェブ・ジェン(魚のごはん)の味わい」 解説:小川了/写真:大村次郷
番外編・「子どもの“食”をながめてみれば」 森枝卓士
食卓の調味料(2)『ウスターソース』 浅倉 貴
食からみた日本史 近代の食8(最終回) ―食事観とマナー「小笠原流」から「ラッコの食卓」まで― 高田公理
エッセイ タイ菓子が好まれない理由 前川健一
野生食をたずねて・9「果物の迷宮」 小山修三・岡野洋子・中澤幸
江戸市中のブタとその食用について ―近代家畜肉食受容過程の観点から― 渡部浩二
連載 食と倫理4(最終回) 「倫理におけるいくつかの希望について」 山口裕之
文献紹介 ヨーロッパ食文化研究 のために⑰ コリン・スペンサー著『英国の食―非凡な千年の歴史』 カタジーナ・チフィエルトカ
取材 食の学習現場から 「目指せ野菜ソムリエ―日本ベジタブル&マイスター協会」 草野美保
文献紹介 鈴木晋一・松本仲子編訳注『近世菓子製法集成1・2』 赤井達郎