Washoku 「和食」文化の保護・継承活動の報告コーナー

第1部文化財行政の在り方学会の取り組み例

2014年03月03日(月)

講師:長野 宏子

REPORT

長野 宏子 氏(一社)日本調理科学会副会長、岐阜大学名誉教授

一般社団法人日本調理科学会は、1968年に調理科学研究会として発足し、約50年の歴史があります。学術会議に登録されており、調理にかかわる研究者のほかに関連分野のいろいろな教育者、研究者、技術者が参加しています。全国の約1,500名の会員は、6支部に所属し、日本調理科学会誌の発行などを行っています。

平成12年度からは学会主導の特別研究として「調理文化の地域性と調理科学」として、豆や芋類、魚介類、それに行事食・通過儀礼などの研究に取り組んできました。

そして平成24年度からは「次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理」という特別研究を進めています。目的は、伝統的な地域料理が親から子へ伝承されにくい傾向にある現代にかんがみ、聞き書き調査を通して、その暮らしの背景とともに、次世代に伝え継ぐ家庭料理を記録することです。

日本の家庭料理の定義は「1960年から1970年代までに定着した、約50年以上の歴史を持っている地域の郷土料理」としています。家庭料理は地域性のある食材を用いたもの、その食べ方や保存に対して人々が工夫をしてきたもの、共通の食材を使っていても家庭によって味つけなど多様性があり、それらが家族の団らんの結びつきの中で受け継がれてきました。家庭料理は、地域の行事と結びついたものが多いのですが、人々が集まり、共同で料理することにより、若い年代の習得の場となり、伝播につながってきました。

これらの日本の家庭料理について、日本調理科学会の会員は、47都道府県で聞き書き調査を行っております。長年、料理を作ってきた各地域の人々の協力から得た内容を、報告書としてまとめ基礎資料をつくっております。平成26年度も同様な聞き書き調査を継続して行っていきます。さらに、聞き書き調査内容をもとに、一般社団法人農山漁村文化協会から「次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理(仮名)」として出版の予定です。

一般社団法人調理科学会としては、和食JAPANと同じように、全国1つとなり、大きな輪となって、協力をしあいながら進めていきたいと思っております。多くのご支援、ご協力を今後ともよろしくお願いいたします。