Symposium 公開シンポジウム

シンポジウム
「江戸書物から読み解く庶民の食べ物と生活」

2018年01月19日(金) 13:30 ~ 16:35

テ ー マ 「江戸書物から読み解く庶民の食べ物と生活」
募集人数 300名(先着順)
締め切り 2017年12月20日(水)※定員になり次第締め切ります。
参加費用 無料
会  場 味の素グループ高輪研修センター 大講義室
主  催 公益財団法人 味の素食の文化センター
大学共同利用機関法人 人間文化研究機構
(協 力)クックパッド株式会社
後  援 一般社団法人 和食文化国民会議
町民文化が花開いた江戸時代。人びとが口にしていた食材は実に豊かで、調理法は創意工夫と遊び心にあふれていました。江戸時代の料理書を紐解き、その豊かな食生活と生活文化、当時の知恵をみていきます。
本年5月、デジタル化され公開された江戸の料理本もお楽しみいただきます。
 
13:30  開 会  主催者挨拶  
13:40  「歴史的典籍ネットワーク事業の全容とその意義」/山本和明(国文学研究資料館・教授)
13:55  基調講演「史料が語る江戸の食」/江原絢子(東京家政学院大学・名誉教授)
14:40  「クックパッドに再現された江戸料理」/伊尾木将之(クックパッド株式会社)
14:50  休 憩
15:05  トークセッション   
      コーディネーター:ロバート キャンベル(国文学研究資料館・館長)
      江原絢子  
      磯田道史(国際日本文化研究センター・准教授)
16:35  閉 会
 
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チラシのダウンロードはこちら(PDF:1.2MB)

REPORT

「歴史的典籍ネットワーク事業の全容とその意義」
国文学研究資料館 教授 山本和明
古典籍には多彩なジャンルがあり、料理書・料理本はそのひとつ。江戸時代には料理書・料理本が多数世に出され、現存するそれらの史料から当時の食事情を読み解くことができること。歴史的典籍ネットワーク事業は古典籍をweb公開することにより、多くの人びとに貴重な情報に接する機会をつくり、また異分野融合研究など研究分野での推進を図ろうとするものであることが説明されました。
 
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基調講演「史料が語る江戸の食」
東京家政学院大学 名誉教授 江原絢子
江戸時代の食生活に関する古典籍にもとづき、江戸の食を食料生産・流通、食品加工、調理・献立・食事作法など系統立てて説明されるとともに、健康と食、凶荒食、行事食、外食の発展などのトピックを紹介されました。さらに具体的な料理本の内容を見ながらそこに描かれた料理の説明と、それらを再現された際のエピソードも話されました。講演全体を通して江戸の人びとの創意工夫や遊び心が随所に感じられ、江戸の食ならびに古典籍に対する参加者の興味は一層高まりました。
 
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「クックパッドに再現された江戸料理」
クックパッド株式会社 伊尾木将之
「クックパッド江戸ご飯」制作の経緯、参照した古典籍と公開した料理、アクセス状況、ユーザーの反応などを紹介し、多数のユーザーの声から、生活者は江戸料理=新しくて懐かしい料理と捉えていると考察されました。
 
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トークセッション
コーディネーター:ロバート キャンベル(国文学研究資料館 館長)
江原絢子、磯田道史(国際日本文化研究センター 准教授)
前半、キャンベル氏は近世文学、磯田氏は歴史学それぞれご専門の立場から、古典籍に刻まれた食に何を見出すのか、それがどのような意味をもつかを説明されました。後半は250年以上にわたる江戸時代の食の変遷と古典籍にどのように記述されているか、料理書は庶民の生活にどう影響してきたかといった話題を中心に話が交わされました。
 
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シンポジウムを通じ、創意工夫に満ちた江戸の食と、それを文字の蓄積として密度濃く残す古典籍は世界的にみて極めて珍しいことが認識され、古典籍に対する関心が喚起されました。
 
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参加者にお土産としてお渡しした江戸のお菓子「鯨餅」と「柿衣」。それぞれ『古今名物御膳菓子秘伝抄』と『素人庖丁』に記載されたものから江原氏がレシピをおこし、皇居外苑楠公レストハウスの安部憲昭総料理長が再現された。
 
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ロビーには東京家政学院生活文化博物館よりお借りした江戸の再現料理を展示
 
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山本氏所蔵のさまざまな古典籍も展示し、手に取ってご覧いただいた。