
『vesta』113号
「食をめぐる「もったいない」」
2019.01.12
特集アドバイザー 髙田 公理 (武庫川女子大学 名誉教授)
それが今日MOTTAINAI という世界語になった。広めたのは
ケニアの環境保護活動家ワンガリ・マータイさん(故人)だ。
彼女は二〇〇四年に「持続可能な開発、民主主義と平和への貢献」で
ノーベル平和賞を受賞。翌年、日本でこの言葉に出会い「環境問題を
考えるのに重要だ」と気づく。
最初それを彼女は「3R」─ reduce(消費の削減)、reuse(再利用)、
recycle(再生利用)で捉えた。が、まもなく日本語の「もったいない」が
はらむ「(モノへの)respect(尊敬)」の念に気づき「4R」で捉え始める。
で、MOTTAINAI は食品ロスはじめ環境問題全般を考える際の
重要なキーワードになった。
<特集>
巻頭 食品ロス・食品廃棄物発生の状況
巻頭 水産加工品における廃棄物削減の取り組み
Ⅰ 食品ロス・食品廃棄物の現状とフードビジネス
─「もったいない」における世界の趨勢と日本のゆくえ─/小林 富雄
Ⅱ 食品ロスと食品衛生の思想/丸井 英二
[TOPIC] 江戸のリサイクル事情/神崎 宣武
Ⅲ 日本の取り組み事例
1 野菜ロス ─食べる権利と知る義務/田村 有香
2 規格外野菜をプロフェッショナルのリレーで活用 ―編集部インタビュー─
その① 一般社団法人日本和菜
その② エームサービス株式会社
3 食品流通
①コープデリ生活協同組合連合会の食品ロス削減の取り組み/藤田 親継
②イオングループの食品廃棄物・食品ロス削減の取り組み/椛島 裕美枝
4 農林水産省が進める食品ロス削減に向けた取り組み/片貝 敏雄
Ⅳ 海外の状況
1 大量生産大量消費の価値観は変わるのか─アメリカのFLW削減の現状/加藤 裕子
2 国を挙げての「もったいない」撲滅運動 ─中国の場合/川口 幸大
3 食をめぐる「もったいない」に関する韓国レポート/守屋 亜記子
4 フランス人と「もったいない」─食意識は変わるか/宇田川 悟
まとめ 食をめぐる『もったいない』の総括/髙田 公理
<連載>
幻の大衆魚:ニシンは山を越え、海を渡る/濵田 信吾
(第2回)「基盤変化症候群」を考える
大食軒酩酊の食文化/石毛 直道
(第43回)箸と匙
すべての道は「食」に通ずる -イタリア-/宇田川 妙子
(最終回)グローバル時代における食の選択のゆくえ
嗜好品の文化論/髙田 公理
(第7回)嗜好品が人類文明史に果たした役割
食でひもとく浮世絵の楽しみ(第3回)/林 綾野
文献紹介 メリー・ホワイト著 『コーヒーと日本人の文化誌』/安井 大輔