『vesta』90号
「花を食べる」
2013.04.10
責任編集 江頭宏昌
花をムシャムシャ食べるというのは、時と場合にもよるが、ちょっとあの人、変じゃない?と思われかねないこともある。こうした非日常の出来事のように思える花食も、少し思い起こせば、私たちはふだんからブロッコリのような野菜の花のつぼみを食べているし、菜の花のおひたしや桜茶など、まさに美しい花を愛でながらそれを丸ごと食べてしまうわけである。あえて花を食べるということに、どんな意味があるのだろうか。 今回の特集では、花食文化について各分野の方々から提供いただいた興味深い話題をもとに、国内外で古来より培われてきた花と人との関係を探ってみたい。
写真で見る世界の花とその料理
Ⅰ 花を食べる 日本編
①日本の花食文化 -江戸時代の料理書を中心に-/江原絢子
②食用菊の種類と食文化/小笠原宣好
食用菊の漬け物/江頭宏昌
③日本で食べられてきた花茎/江頭宏昌
④島に生きる花 -トビシマカンゾウ-/山﨑彩香
Ⅱ 花を食べる 海外編
①イタリアの花食べる人々/中山エツコ
②アメリカの食の変容/東理夫
③メキシコの食用花/アーロン・ベラ
④野には花あり新芽あり(タイ)/ムシカシントーン修子
⑤朝鮮半島における「花食」
-伝統的なスローフードか、春先の非常食か-/林史樹
Ⅲ 花のチカラ
①中国薬膳にみる花の効用/謝 敏琪
②国家が薬効を認めた花を飲む ドイツのメディカルハーブティー/Brigitte Schelle
南ドイツで150年の歴史 日本からの利用も多いマリエン薬局とは?/Brigitte Schelle
③「花酵母」の酒
Ⅳ 人はなぜ花を食べるのか/江頭宏昌
[特別寄稿]
中国の端午の節句 -粽、龍舟競漕と屈原-/鄭 南
[連 載]
東北食文化紀行 第1回「宮城の郷土食」/高橋廣子
食文化の現場から 第4回・最終回「お茶を食す」/大村次郷
大食軒酩酊の食文化 第19回「B-1グランプリ」/石毛直道
生業社会の食文化 第6回「イモムシ煎り煮」/梅崎昌裕
「食べる人たち」 第22回「食を自在に表現する」/ゲスト・三遊亭好楽/聞き手・宇田川悟
文献紹介 江原絢子著『家庭料理の近代』/下村道子
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