
『vesta』75号
「家庭の食卓は、今」
2009.07.10
責任編集 髙橋 久仁子(群馬大学教授)
食欲をそそる食べものが溢れ、代金さえ払えば食べたいものをほしいままにいつでも食べられる世の中となった。
それゆえにか、時代はもはや「飽食」「豊食」ではなく「崩食」であるとの説や、「食生活の乱れ」「家庭の食の乱れ」を嘆く論も活発である。
しかし、いわれるほど、日本の家庭の食生活は乱れているのだろうか。そもそも「乱れていない食生活」を全国民が営んでいた時代などあったのだろうか。
今回は歴史的・社会的なさまざまな角度から、家庭の食卓の現状を分析し、現在の問題点を考察してみたい。
(巻頭言より)
食卓は変わったか?―「AMC調査」にみる30年の動向 味の素(株)広報部 生活者情報グループ
食生活の根本の問題とは何か 高橋久仁子
食卓を囲んだ家族団らんの歴史 表 真美
家族の食卓と炊事時間 品田知美
生活時間調査からみる日本人の食卓 中野佐知子
メニューの変遷からみる現在の食卓 江原絢子
“家庭の食”と“心の基地”を取り戻す 大村直己
〔レギュラー〕
メディアと家庭料理② 婦人雑誌と台所―料理空間の変容 村瀬敬子
錦絵が語る食文化⑤ 天麩羅と銀麩羅 飯野亮一
大食軒酩酊の食文化4 梅酒自慢 石毛直道
食べる人たち7 頑固なレシピは料理の家訓から ゲスト・山本容子/聞き手・宇田川 悟
昔話に見る食文化1 桃太郎 石井正己
文献紹介 ヨーロッパ食文化研究のために パニコス・パナイ著『英国の味付け:イギリスの食の多文化的な歴史』 K.チフィエルトカ
北山晴一著『世界の食文化⑯フランス』 樺山紘一