
『vesta』53号
「食の色彩学」
2004.01.10
責任編集 茂木 美智子(聖徳大学教授)
表紙画:奥山民枝
五感の中で最も大きなインパクトを持つといわれる視覚。
視覚情報のひとつである色は、食を通して生物学的快不快、安心、信頼、愛情、代償、自己実現、社会的儀礼、など様々なメッセージを投げかけてくる。
日本料理は目で食べるという。ご先祖様達は森羅万象を詩に詠み、意匠や食にコピーし、美しく静かに、そして自然の恵みに感謝しながらつつましく食べてきた。貴賎の差にかかわらず。さて、一億の民すべてが消費者となってしまった今日、生産から流通、調理加工から食卓、廃棄、また自然環境問題から健康の問題にいたるまで、日本の食は喧騒のただ中にある。食をその色でたどってみたい。(「特集によせて」より)
好きな色・美味しい色 千々岩英彰
総括 日本人の食べてきた色 茂木美智子
和菓子の色と日本人の美意識 中山圭子
農村の食の色彩—宴会の料理文化の彩り— 竹内由紀子
"食卓の色"にみる現代の食 斎藤 薫
インタビュー 日本人シェフから見た中国料理の色使い 脇屋友詞
取材 デパ地下総菜の色彩戦略-色で健康を食べる- ㈱ロック・フィールド
食品パッケージのカラーマーケティング戦略-食もイメージと差別化を売る時代に- 下川美知瑠
取材 色を測る技術の進歩と応用 日本電色工業㈱
色名にみる日本の食文化 高宮和彦
〔レギュラー〕
カラー企画 世界の食の情景9 インドネシア 250の民族の「インドネシア」料理 解説:白石隆/写真:大村次郷
「ことばのゆれ」からみた日本の食(1) 天かす~揚げ玉 塩田雄大
食卓の調味料(3)「胡椒」 鳴神寿彦・安田一江
食卓の調味料(3)「胡椒」 鳴神寿彦・安田一江
すこやかに生きる食文化(1) 薬膳とは? 上野多恵子
エッセイ「美食の巡礼地 サン・セバスチャン」 中村勝宏
野生食をたずねて・10 「生命の水・癒しの水」 小山修三・岡野洋子・福田正彦
植民地時代のペルーにおける先住民の食文化とその変容 -アンデスの記録文書を通して- 溝田のぞみ
文献紹介 ヨーロッパ食文化研究のために⑱
マルク・ヤコブス、ペーラル・スフォリールス編『ヨーロッパの外食』 カタジーナ・チフィエルトカ
取材 食の学習現場から(最終回) 民族の心を料理で伝える -東京朝鮮中・高級学校のこころみ- 草野美保
文献紹介 安堅・車前子・洪燭共著『中国美味礼賛』 古田朱美