
『vesta』50号
「食でまちおこし」
2003.04.10
責任編集 原田 津(農事評論家)
表紙画:奥山民枝
バブルがはじけてこのかた、農村は元気になった。
これは私の実感です。老人が元気、女のひとが元気。人生80年の時代、人びとのライフサイクル・ライフスタイルがかわった。男は外ばたらき、女は内ばたらき?いや、その女のひとのはたらきが、内をしっかり背負いながら外に向かって広がっている。それが、静かに世の中を変える。女のひとの外ばたらきが「食でまちづくり」の原動力です。そして、新しいもののなかに地域の歴史の蓄積がかならず見えてくる。人の歴史と自然の歴史が姿をあらわす。日本だけのことではない。イタリアだって同じこと。食は地域に生まれ、食が地域をつくる。そこを読みとっていただければ幸いです。
(「特集によせて」より)
食でまちおこしが新しい日本を育む 熊倉浩靖
特産物で立つ―兵庫県篠山市の実践 原田津/山中フサ子
「町の料理」としてのイタリア料理―タテとヨコ方向の交流が織りなす個性― マッシモ・モンタナーリ/山辺規子 訳
伊勢神宮と「赤福」―老舗とまちのよい関係 矢野憲一
国際交流でまちおこし―山形県戸沢村・高麗館とキムヂャンランド― 仲野 誠
みどりのよむぎと黄色のかぼちゃ―静岡県中川根町「四季の里」― 藤原文江
〔レギュラー〕
カラー特別企画 中国・変貌する「野味」の世界 解説・写真 周達生
食からみた日本史 近代の食6 「都市の空気」は人を「外食」にさそう 高田公理
食と倫理2「食を分かつは仁の始め」 山口裕之
野生食を訪ねて・7「みどりをたべる―野草・山菜・ハーブ―」 小山修三・岡野洋子・北村光世
遊牧ネネツの食文化(上) ―極北の牧畜生活と獣肉・魚肉の生食文化― 吉田 睦
ヨーロッパにおける食民族学研究の広がり ―第14回国際シンポジウム(スイス)傍聴記― 南 直人
文献紹介 ヨーロッパ食文化研究のために⑮
レベッカ・スパング著『レストランの発明―パリと近代外食文化』 カタジーナ・チフィエルトカ
取材 食の学習現場からグルメから家庭料理へ ―朝日カルチャーセンター・男の料理入門― 草野美保
文献紹介 佐原真著『考古学つれづれ草』 松井 章