
『vesta』47号
「おとなのための ひとりだけの食卓のすすめ」
2002.07.05
責任編集 山口 貴久男(生活行動研究所所長)
表紙画:奥山民枝
ひとりの世帯が大変な勢いで増えている。家族がいてもひとりだけで食べる食も増えている。人生の時間からみても、経済の面からみても、食は現在でも2割から3割を占めている。そのひとりだけの食卓をどう楽しむか、豊かにするかは、人生全体の豊かさにとっても大きな課題である。この特集が、わびしいものとされがちだった孤食の場を豊かなひとりだけの食へと変えるための問題提起となれば幸いである。
――巻頭言・山口貴久男より――
座談会「おとなのための ひとりだけの食卓のすすめ」 山口貴久男・ 栗田博之・ 林望・ 藤原房子
ひとりの食 ―ライフスタイル革命― M.ウィリアム・スティール
二酔人個食問答 坂井博通
孤食と会食―19世紀フランスと現代日本― 北山晴一
“ひとり食”を楽しむ日々 阿形佳代
一人暮らしにおける自炊の楽しみ ―私の経験に即して― 山口裕之
つくる楽しみと雰囲気を楽しむひとりの食 山口貴久男
自由を楽しむひとりだけの食卓 藤本正子
〔レギュラー〕
カラー企画 世界の食の情景4「ドイツ ヴェストファーレン地方/食の伝統といま」 解説:南直人/写真:大村次郷
食からみた日本史 近代の食3 食品工業―西洋化・都市化・簡便化をへてグルメ食品へ高田公理
エッセイ 食の次元―あひるとにんげん― 増成隆士
中国食文化事情 (最終回) 中国の育児食の移り変わり 賈惠萱
野生食をたずねて・4 生活と遊びの間を泳ぐ淡水魚 小山修三・岡野洋子・秋道智彌
文献紹介 ヨーロッパ食文化研究のために⑫ P.Scholliers編
『飲食とアイデンティティ―中世以降ヨーロッパの調理と飲食―』 カタジーナ・チフィエルトカ
ヨーロッパにおける粉挽きの歴史―水車と風車 その3― 水車をめぐるさまざまな工夫 H.ムラー/長尾精一 編訳
特別鼎談 食の文化の発展を願って 石毛直道・翁肇喜・稲森俊介
取材 食の学習現場から 新しい「ゆべし」作りにチャレンジ ―静岡文化芸術大学・食文化研究会の試み― 草野美保
文献紹介 麻井宇介著『ワインづくりの思想―銘醸地神話を超えて』 森枝卓士