『vesta』119号「世界を旅する和食の今」

『vesta』119号

「世界を旅する和食の今」

2020.07.13
特集アドバイザー 髙田公理(武庫川女子大学名誉教授)

 人が旅をすると何かが微妙に変化する。生活スタイルや物の考え方などだ。これに似たことが料理にもあてはまるような気がする。すしという料理がある。本来は主として魚を塩と米飯で乳酸発酵させた食品だった。それを「なれずし」という。今も東南アジア以東の各地で作られている。なれずしは大昔、日本にも伝わり、今なお何か所かで作られている。琵琶湖周辺の鮒ずし、秋田のハタハタずしなどだ。が、やがて日本では、酢飯の上に魚を乗せる押し寿司が登場した。それが近世の江戸で、にぎり寿司に姿を変える。さらに今日、世界の各地に旅をして、さまざまな相貌をあらわにしつつある。
 さあ、そこで......。現代世界では、海外の日本料理店が一六万軒たらずに数を増やした。それらの料理店で日本料理、つまり和食は、どんな変化を体験しつつあるのか。 この特集では11か国々を選んで「世界を旅する和食の今」を訪ねてみる。
<特集>
Ⅰ 「和食って何?~江戸の物語にみる食・・・明日の味/髙田郁

Ⅱ 世界の和食の今
 1 「アフリカの日本料理」をつくりだす―ウガンダ、『YAMASEN』の取り組み
     /宮下芙美子
 2 フランスにおける和食の浸透/伊藤文
 3 イタリアの若者たちはなぜ日本食が好きなのか/宇田川妙子
 4 ドイツ人なこんな和食を食べている!
   ―火付け役は寿司、今は日本のラーメンがブレイク、将来はお弁当に期待?
     /町田文
 5 トルコの日本食~イスラムの食習慣とコスモポリタン的好奇心の狭間で~
     /井藤聖子
 6 日本好きのロシア人と日本食
 7 ウズベキスタンで寿司ブーム?/帯谷知可
 【トピック】食文化の真正さ―比較対象としての日本の韓国料理/太田心平
 8.中国での「日料」とはいったい何だろうか?/劉征宇
 9.タイの日本食文化/大澤由美
10.アメリカ南部で日本食?/賀茂美則
11.南米の美食王国ペルーで愛されるニッケイ料理/原田慶子

Ⅲ プロの料理人に聞く。海外への和食の展開・・・日本料理の発展を通じて未来を考える
    /村田吉弘

Ⅳ 行政のとりくみ・・・「食文化」を通じた魅力発信
    /農林水産省 食料産業局 海外市場開拓・食文化課 食文化室

特集まとめ・・・世界を旅する和食の今/髙田公理

<連載>
 ★遠くなった昭和の食卓(最終回)「オーガニック食材の行方」/阿古真理
 ★食情報の考現学(第5回)「『筋活』健康法のための食の工夫」/髙田公理
 ★大食軒酩酊の食文化 (第49回)「どんぶり考」/石毛直道
 ★文献紹介 江原絢子・平田昌弘・和仁皓明=編著
    『近代日本の乳食文化―その経緯と定着』/石毛直道

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