『vesta』118号「「多文化」化する日本の外食」

『vesta』118号

「「多文化」化する日本の外食」

2020.04.11
特集アドバイザー 太田心平(国立民族学博物館准教授)

 日本の外食では、世界各地の料理を食べることができるようになった。専門店化した外国料理店が外食産業に占める割合も、年々大きくなっている。
 日本にいながらにして各国本来のものが食べられるようになった一方、本場の真正な食べ方とかけ離れているため、現地の人が見たら驚くところもある。日本人の嗜好や、食べる順番などの日本文化に合わせた変化は、日本が外国の食を文化的に受け入れていないところがあることを示すのではないか。
 日本ナイズされた食は、現地に跳ね返る力もある。円卓が中国に、日式焼肉が韓国に取り入れられたように、そのうち日本文化に取り入れられる外国の食文化もあるのだろうか。すんなり受け入れられている例、抵抗している例も含め、日本における外食の「多文化」化を見ていきたい。
<特集>
巻頭 どこの国の料理でしょう?
Ⅰ 「多文化」化の展開
 ★ 日本人の食生活をさらに多様化したエスニックフード/畑中三応子
 ★ エスニック関連本からみる食の「多文化」化/編集部

Ⅱ 「多文化」化最前線―日本のエスニック料理店レポート
 1 「あきんど」の街でペルーを味わう
    /サウセド・セガミ・ダニエル・ダンテ、丸岡真紀穂
 2 インジェラの味はどんな味?<エチオピア>/村橋勲
 3 日本におけるロシア料理店/サクマ シャルゲイ
 4 日本のトルコ料理店―食文化の多様性を実感できる空間
    /ウヤル マキバヤシ アイスン
 5 味の都の小さな秘宝<オランダ>/アレックス・デ=ヴート/太田心平訳
 6 おおらかな食空間 ネパール料理店/阿部未奈子
 7 多角的展開をみせる都心のベトナム料理店/瀬戸 徐 映里奈
 8 フィリピン料理は旨い!/熊野建
 9 中華料理は誰の中華料理
    ―南京町にみる観光客の好み、本場の味、そして経営者の采配/辺 静音

Ⅲ 他国の状況
 1 イギリスの外食シーンにおける「多文化」化をめぐるポリティクス/相島葉月
 2 今日は何食べよう? 百花繚乱の中国外食最前線/川口幸大
 [Topic]食とエスニシティ/安井大輔

<連載>
 ★遠くなった昭和の食卓(第3回)「『きのう何食べた?』から見える食卓」/阿古真理
 ★食情報の考現学(第4回)「糖尿病とそれへの対策の食情報」/髙田公理
 ★大食軒酩酊の食文化 (第48回)「天ざるソバの食べかた」/石毛直道
 ★食でひもとく浮世絵の楽しみ(最終回)/林 綾野
 ★文献紹介 岩間一弘編著『中国料理と近現代日本 食と嗜好の文化交流史』/野林厚志

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