『vesta』117号「食を「包む」」

『vesta』117号

「食を「包む」」

2020.01.11
特集アドバイザー 藤本憲一(武庫川女子大学教授)

 食べることと、包むことは密接に結びついている。たとえば、餃子に春巻、ロールキャベツにオムライス、お稲荷さんに海苔巻き。毎日の食生活を見回すだけでも、和洋中エスニックともに、包む料理は数多く存在する。 包むのは、料理だけではない。食をめぐっては、何重にも包んで運び、包んで贈る文化や習慣がある。老舗の和菓子なら、ひとつひとつラッピングし、その個包装をまとめて美しい化粧箱に並べ入れた上で、さらに包装紙で包み、ひもを十字にかけて手提げ袋風呂敷に入れて、ようやく先様に届ける用意が整う。 食を包むラッピングやパッケージの文化は清潔で機能的、美しく目を楽しませるが、つねに過剰包装のリスクと、隣り合わせてもいる。 今号では、食のウチソト、食の周辺における「包む」文化の現在を見つめつつ、その可能性と問題点について、取り上げていきたい。
<特集>
Ⅰ 日本の「包む」文化
1.「包む」文化があらわす日本の心 (インタビュー)ロバート キャンベル
2.包まれた食べ物の歴史―古代日本を中心として/小倉慈司
3.現代の「包む」に挑む (インタビュー)緒方慎一郎
Ⅱ 包んでつくる、食べる
1.日本料理を包む/高橋拓児
2.パテから見たフランス料理の「包む」/山内秀文
3.中国の餃子/于亜
4.米を包む/阿良田麻里子
5.包まれた食べ物の話―グレートジャーニー編/関野吉晴
Ⅲ 「包む」と食の進化
1.包装技術の発展と食生活の変容/住本充弘
2.野菜を包む/石川豊
3.社会変化に対応するコンビニ食の「包む力」/吉岡秀子
多葉体論―食の重層的媒体(メディア)と「包む」美学
<連載>
遠くなった昭和の食卓(第2回)「流行のレシピ」/阿古真理
食情報の考現学(第3回)「『気がかりの人類史』から高血圧対策の食情報へ」/髙田公理
大食軒酩酊の食文化(第47回)「もう一皿」/石毛直道
食の時代考証(第3回)「食の明治維新」/青木直己
食でひもとく浮世絵の楽しみ(第7回)/林 綾野
文献紹介 アナ・チン著 赤嶺淳訳『マツタケ―不確定な時代を生きる術』/山田仁史

ご注文はこちら

メルマガ会員限定vestaバックナンバー

無料で登録できるメルマガ会員向けに様々な情報を公開していきます。
このサイトでは、食文化誌『vesta』のバックナンバーの一部や映像の先行公開などをご覧いただけます。

※メルマガ会員サイトのログインID・パスワードは配信メールにてお知らせいたします。