『vesta』143号「世界の雑穀 -いま見直される多様な価値」

『vesta』143号

「世界の雑穀 -いま見直される多様な価値」

2026.07.10
特集アドバイザー 倉内 伸幸(日本大学 生物資源科学部 教授)

「雑穀」と聞いて何を思い浮かべるだろうか?
戦前の食糧が乏しい時代を知る世代に尋ねると、コメの代用食糧で「貧しさの象徴」のイメージが強い。
一方、20代から50代の健康やライフスタイルへの関心が高い女性に尋ねると、体に良さそう、おしゃれな食材といった声を聞く。
このように、雑穀に対するイメージは世代によって大きく異なる。
わたしたちは最近100年程度の雑穀のことしか知らないが、2000年以上前にイネが海外から持ち込まれる以前から、雑穀は多くの日本人を養ってきた。主食として利用されていただけでなく、酒や味噌、もちなどに加工され独自の食文化を育んできたのである。
こうした歴史はほとんど知られていない。
また、わたしたちの多くは日本の雑穀のことしか知らないが、世界に目を向けると多種多様な雑穀が存在し、そこには独自の調理法や食文化が存在する。
本特集では、これまであまり知られてこなかった雑穀の有用性と食文化について、国内外の事例を紹介するとともに、新たな食文化の創造につながることを期待している。
Ⅰ 雑穀の起源
 1 雑穀の世界へようこそ/倉内 伸幸
 2 日本における食文化と雑穀の関係/井上 直人
 3 ユーラシアと日本の雑穀をめぐる考古学/庄田 慎矢
 4 沖縄に生きる雑穀物語-神に捧げ、命をつなぐ/玉木 陸斗
Ⅱ 世界の雑穀
 1 中国の雑穀文化/田村 和彦
 2 古くて新しいインドの雑穀/小林 真樹
 3 エチオピアのテフ-国民食インジェラの原料から世界のスーパーフードへ?/藤本 武
 [コラム]オーストリアの「パンを焼けない穀物」とは?家庭料理として受け継がれる、かつての主食/御影 実
 [コラム]乳幼児食としても定番 黒パンの国ドイツの雑穀文化/大越 理恵
Ⅲ 雑穀の可能性
 1 雑穀の栄養・健康機能/小西 洋太郎
 2 雑穀料理が広げる食の楽しみ-懐かしさと新しさが息づく食卓/梶川 愛
 [コラム]日本における雑穀のトレンド-需要拡大と構造変化の実像/中西 学
 [コラム]食文化を超えて広がるモロコシの可能性/加藤 太
 [コラム]キヌア~アンデス高地から未来へ~/永利 友佳理
 [コラム]トウジンビエ-多くの人々の支える穀類/三浦 励一
特集まとめ 雑穀の新たな価値の発見と創造に向けて/倉内 伸幸

<連載>
☆「伝えたい残したい日本の味」(第5回)「本わさび」/向笠 千恵子
☆「世界の乳文化や牧畜」(第2回)西アジア・シリアの牧畜と乳文化/平田 昌弘
☆「食をめぐる本の旅~2冊を並べて~」(第2回)/小山 伸二

☆文献紹介 小林哲・藤本憲一=編『食の欲望論 生存から快楽、そして情報へ』/管 啓次郎

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