『vesta』124号「食の装い」

『vesta』124号

「食の装い」

2021.10.12
特集アドバイザー 朝倉敏夫(国立民族学博物館/総合研究大学院大学名誉教授)

 「人間はなぜ装うのか」。
衣の装いでは、その答えは「肉体を外部から保護するモノとしての機能(身体の保護)」と「着るヒトの存在を社会的に表象する記号としての機能(他人の視線)」の二つである。 
では、食の装いではどうだろう。食の装いとは、どのようなときに、どのような形で、なぜおこなわれるか。それを知るのが今回の企画だ。 
ハレの日に晴れ着を着るように、世界では、特別な日にどのような食の装いをするのか。東アジア、東南アジア、中東、ヨーロッパ、南アメリカの事例とともに、一見「装い」とは縁遠いと思われるアフリカの事例をみてみたい。
また、すしと懐石料理に代表される日本の料理は、まさに「目で食べる」といわれる。その真髄はどこにあるのだろう。
加えて、ヨーロッパとアジアにおけるお菓子の装いにも目を向けてみよう。 
食の装いは時代とともに変わる。すでに定着した感のある「インスタ映え」の現象や、食の装いに活用されるAI技術についても探ってみたい。
<特集>
Ⅰ 海外編
1.韓国の伝統的な食の装い―プジムハゲ(もりだくさんに/ 朝倉敏夫
2.現代中国人のハレの食卓/劉 征宇
3.東南アジアのオープンハウス―もてなす心が食の装いとなる/石川智士
4.装うご飯の移り変わり インドネシアのトゥンパン/阿良田麻里子
5.トルコの食と食卓の彩り―多様な地域性と日常・非日常―アイスン ウヤル 槙林
6.フランス料理と非日常空間の演出―八木 尚子
7.イースターの食卓からみるブルガリア人の世界観と美意識/マリア・ヨトヴァ
8.文化のるつぼ、リマのクリスマスディナー
/サウセド・セガミ・ダニエル・ダンテ、丸岡真紀穂
9.エチオピアの食習慣とハレの装い/上村知春
[コラム]装わないごちそう/小松かおり

Ⅱ 日本編
1.すしの「装い」〜「ごちそう」の枠組み〜/日比野光敏
2.<編集部インタビュー> 料理人にとっての「食と装い」/小室光博

Ⅲ 菓子の装い
1.西洋における菓子の装い―カレームを中心に/南 直人
2.アメと、アメを包むもの/加部勇一郎

Ⅳ “装い”の話題
1.「#ハッシュタグ」の魔力―「インスタ映え」のメカニズムを探る/藤本憲一
2.食の装いの心的機能とAI技術の適用/和田有史、山寺 純

特集まとめ 「食の装い―装飾、装置、包装をキーワードに」/朝倉敏夫

<連載>

☆歌舞伎のレシピ(第4回)「腹が減っては忠義はできぬ」/堀越一寿 

☆大食軒酩酊の食文化(第54回)「ラーメン鉢の雷紋」/石毛直道

☆ミクロネシアの島の暮らしと食(第3回)「魚介類」/山本宗立

☆文献紹介 田村典江/クリストフ・D・D・ルプレヒト/スティーブン・R・マックグリービー=編著『みんなでつくる「いただきます」―食から創る持続可能な社会』/岸上伸啓

ご注文はこちら

メルマガ会員限定vestaバックナンバー

無料で登録できるメルマガ会員向けに様々な情報を公開していきます。
このサイトでは、食文化誌『vesta』のバックナンバーの一部や映像の先行公開などをご覧いただけます。

※メルマガ会員サイトのログインID・パスワードは配信メールにてお知らせいたします。