『vesta』122号「世界の台所」

『vesta』122号

「世界の台所」

2021.04.12
特集アドバイザー 石毛直道(国立民族学博物館名誉教授)

狩猟採集、農業、牧畜など、異なる食料獲得法があるが、食材は環境=自然の産物である。おなじ食材を使用しても、食文化の違いによって異なる味の料理がつくられる。
料理とは、自然を変形して文化にとりこむ行為である。
旧石器時代に火を使用するようになってから、人類は料理を始め、肉を焼いて食べるようになった。新石器時代に土器がつくられるようになると、土器に水を入れて煮沸する、煮炊きという技術が成立した。料理は火と水の利用にはじまるといえよう。
現在の台所でも、火を使うカマドやガスや電気のコンロと、水を使う流し台を中心とした空間となっている。
台所は女性が管理する空間とされてきた。
従来あまり論じられることのなかった、台所から食文化を考えてみようというのが、本特集号の趣旨である。
<特集>
Ⅰ 生活様式からみる各国・地域の台所
 1.火のある場所は台所だ―森の民の調理場/彭宇潔
 2.イタリア、ピエモンテ州のキッチン/中山エツコ
[トピックス]フランクフルト・キッチン
 ―近代ドイツにおけるコンパクトキッチンの誕生/須崎文代
 3.中央アジアの農耕民―ウズベキスタンの台所と食文化/今堀恵美
 4.モンゴル遊牧民の台所―新家電がもたらす変化/堀田あゆみ
 5.ベトナムの人びとの台所と食文化―米を中心とした人びとのくらし/鍋田尚子
 6.中国・福建省の台所/砂井紫里
 7.アンデス高地の台所と調理/若林大我
[トピックス]キッチハイク! 多様性のど真ん中に出会った世界のキッチン探訪
 /山本雅也

Ⅱ 日本の台所
 1.近代日本における台所のモデル/須崎文代
 2.キッチンの未来像/渋谷篤

Ⅲ 台所の外部化
 1.近代日本の胃袋を支える台所―在来市場と近代市場/湯澤規子
 2.江戸時代に華開いた「台所」替りの屋台/土田美登世
 3.石窯ピッツァのフードトラック~理想に向かって走る~/久村幸平

特集まとめ 「台所文化考」/石毛直道

<連載> 

☆コーヒー・ハウスの文化論(第3回)
 「コーヒー・ハウスにおける新しい文学の誕生」/太下義之

☆歌舞伎のレシピ(第2回)「初鰹は庶民の憧れ?」/堀越一寿

☆大食軒酩酊の食文化(第52回)「クジラのベーコン」/石毛直道

☆ミクロネシアの島の暮らしと食(第1回)「生活一般と台所」/山本宗立

☆文献紹介 藤原辰史著 『縁食論―孤食と共食のあいだ』/松村圭一郎

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