Symposium 公開シンポジウム

食の文化シンポジウム2016
栽培化と家畜化-食べていくための人類の選択

2016年11月26日(土) 13:30 ~ 16:30

テ ー マ 栽培化と家畜化-食べていくための人類の選択
募集人数 90名(先着順) 
締め切り 定員に達した時点で締め切ります。
参加費用 無料
会  場 味の素グループ高輪研修センター 中講義室(ページ下部にリンクされているチラシの地図をご参照ください。)
主  催 公益財団法人 味の素食の文化センター
テーマ「栽培化と家畜化-食べていくための人類の選択」
人類は狩猟から家畜、採集から栽培を通じてより効率的に食料を獲得してきた。その過程をふりかえりつつ、近代以降の食料獲得に関わる諸課題を取り上げ、動物、植物との関係にも目を向け、未来に向けた解決の道筋を探る。
プログラム
基調講演Ⅰ
「人間と動物 ー多様なかかわり方の行く末」 池谷和信(国立民族学博物館 民族社会研究部教授)
基調講演Ⅱ
「人間と作物 ー農のジレンマをこえて」 江頭宏昌(山形大学農学部教授)
鼎談
コーディネイター:中嶋康博(東京大学大学院 農学生命科学研究科教授)
         池谷和信
         江頭宏昌
テーマ「栽培化と家畜化-食べていくための人類の選択」
人類は狩猟から家畜、採集から栽培を通じてより効率的に食料を獲得してきた。その過程をふりかえりつつ、近代以降の食料獲得に関わる諸課題を取り上げ、動物、植物との関係にも目を向け、未来に向けた解決の道筋を探る。
プログラム
基調講演Ⅰ
「人間と動物 ー多様なかかわり方の行く末」 池谷和信(国立民族学博物館 民族社会研究部教授)
基調講演Ⅱ
「人間と作物 ー農のジレンマをこえて」 江頭宏昌(山形大学農学部教授)
鼎談
コーディネイター:中嶋康博(東京大学大学院 農学生命科学研究科教授)
         池谷和信
         江頭宏昌

REPORT




 
基調講演Ⅰ「人間と動物-多様なかかわり方の行く末」池谷和信
 
5万年前、人類がアフリカ大陸から拡散して以降、人と動物との多様な関係が生まれた。講演では自然、文化、文明との関連で人と動物の関係を整理し、シンポジウのテーマである家畜化(家禽化)の定義を行った。その後家畜化、家禽化していく過程を自身のフィールドワークならびに文献を元に説明された。
 
最後にこれからの人と動物の関係を、産業化と伝統文化の共存の視点から、国内外の例を挙げ、新たなステージへの道筋を示唆された。
 
 

 
基調講演Ⅱ「人間と作物 ~農のジレンマをこえて~」江頭宏昌
 
シンポジウムのテーマである栽培化に関し、本情報発信の土台である食の文化フォーラム(専門家による会員制の研究会)での議論に沿って、「採集と栽培」「在来農法と近代農法」「近代農法をこえて」の3つのステージに分けて説明された。後半、「現代において食用の野生・半栽培植物を大切にすべき意味は?」の中では、自身のフィールドとされている山形県での伝統野菜栽培例など文化的側面からの考察を行った。
 
今後、豊かな食を確保していくには、生産効率と経済性の追求のみでは困難であり、身近な植物の栽培・利用・繁殖方法の継承、生物間のつながりを断ち切らない農の技術構築、資源循環の利用や環境負荷低減の技術などが不可欠であると述べられた。
 
 

 
鼎談 中嶋康博/コーディネーター、池谷和信、江頭宏昌
 
基調講演の内容も踏まえ、冒頭、ドメスティケーション(家畜化・栽培化)を理解する4つのポイントが示された
◆移動社会から定住社会へ/・栽培化と家畜化の並進
◆ドメスティケーションのプロセス(家畜化の例)/・囲い込み・馴化・品種化
◆栽培化と家畜化のステップ/・行きつ戻りつ・半栽培
◆近代以前と近代(都市と農村)/・人口扶養・高品質
 
その後鼎談の3つの論点が提示され、議論が進行した。
◆栽培化と家畜化の理解
 ・並進性
 ・差異は何か
◆近代における現実と課題
 ・品種化における科学技術の適用と市場経済化
 ・遺伝資源
 ・品種の消滅
◆21世紀の人と動物と植物の関係
 ・栽培種と家畜の文化 
 ・食を超えた課題
 ・必要とされる科学技術
 
近代のパートでは世界の作物生産、畜産物生産の変化の数値なども示しながら、ドメスティケーションを進めることにより世界の人口増に対応してきた経緯を確認するとともに、今後そこから生み出された課題にいかに対応していくか、人と動植物の新たな共生関係も視野に入れ議論が交わされた。