Symposium 公開シンポジウム

食の文化シンポジウム2012
「火と食」-ヒトはいつから火を使い始めたのか

2012年10月20日(土) 13:30 ~ 17:00

テ ー マ 「火と食」-ヒトはいつから火を使い始めたのか
募集人数 250人
締め切り 閉め切りました
会  場 味の素グループ高輪研修センター
主  催 財団法人 味の素食の文化センター
後  援 味の素株式会社

テーマ「火と食」-ヒトはいつから火を使い始めたのか
「人類史における最大の出来事は人間が言語をしゃべる動物になったことと火を利用する動物になったこと」と言われている。この火のエネルギーを介して人間は自然を利用し料理をする動物になった。それは人類の食生活における革命であった。"火"がもたらしたものを人間・生活そして食べるという角度から今一度考えたい。
第一部
基調講演 「火と調理の起源」-火は人間をどう変えたか-
     (京都大学大学院理学研究科教授 山極寿一氏)
第二部
パネルディスカッション
コーディネーター:朝倉敏夫氏(国立民族学博物館教授)
パネリスト:江頭宏昌氏(山形大学農学部准教授)
      原田信男氏(国士舘大学21世紀アジア学部教授)
      山極寿一氏(京都大学大学院理学研究科教授)
      山下満智子氏(大阪ガス(株)エネルギー文化研究所研究員)

REPORT

 

食の文化シンポジウム2012
「火と食」―ヒトはいつから火を使い始めたのか―

財団法人 味の素食の文化センターは、10月20日(土)、高輪研修センターにおいて、公開シンポジウム「火と食」―ヒトはいつから火を使い始めたのか―を開催しました。 
 

基調講演では、京都大学大学院の山極教授が、「火と調理の起源」―火は人間をどう変えたか―と題し、ご自身の「ゴリラ研究」を通して、人間と動物を分けるものは大きな脳によって紡ぎ出される高い知性であり、そこには火が関与したとし、「ゴリラ」と「人間」社会を対比させながら膨大な時間軸に照らしてお話をされました。 

パネルディスカッションでは“焼畑”と“火育”という2つのテーマの下、各パネリストご専門の立場からの発表と活発な論議が交わされました。質疑応答を通じて登壇者と来場者間に一体感がうまれ、シンポジウムは盛況裏に閉幕しました。 

 

 
味の素食の文化センターは、食文化を学際的に考える会員制の研究討論会「食の文化フォーラム」を年3回運営しています。 公開シンポジウムは、フォーラムで議論された内容を中心に、関連する研究成果を一般の方々に広く知っていただくことを目的に毎年秋に開催します。
今回のシンポジウムは昨年度のフォーラム「火と食」を基に企画されました。 

また、フォーラムで議論された内容は、書籍として刊行されます。「火と食」については2012年9月末に発刊されています。 ⇒ 詳しく見る
 
味の素食の文化センターでは、今後も公開シンポジウムをはじめ、公開講座、食の文化ライブラリー等の活動を通じ、一般の方々への食文化の普及・啓発に努めていきます。  
 
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基調講演をされる京都大学大学院理学研究科教授 山極寿一氏
専門は人類学、霊長類学
火の効果は調理のみではなく、夜の闇を制し人々に新しいコミュニケーションの道を開いた。
類人猿から引き継いだ音楽的な能力を発展させ人間は共感力を高め家族を基本とするコミュニテイーを作ったと広範な基調講演をしていただきました。
 
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パネルディスカッション・コーディネーター:朝倉敏夫氏 
国立民族学博物館教授、専門は社会人類学・韓国社会論
パネリストの各専門領域をご紹介いただき、“火と生活”、“火と調理”など火のもたらしたものについて論議を展開され、全体のコーデイネートを務めていただきました。
 
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パネルディスカッション・パネリスト:江頭宏昌氏  
山形大学農学部准教授、専門は植物遺伝資源学・植物育種学
焼畑を科学するというタイトルの下、食べ物を得る知恵として日本の焼畑(山形県)を取り上げ、焼畑は化石燃料や原料鉱石に依存しないで食糧生産を続けるための伝統的な知恵であることを説明されました。
 
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パネルディスカッション・パネリスト:原田信男氏 
国士舘大学21世紀アジア学部教授、専門は日本生活文化史・日本文化論
日本・海外での焼畑の紹介と同時に日本の農学全書(元禄9年)や中国の「礼記」などを引用し、焼畑の歴史的側面にも触れられ、火・大地・食の連鎖について説明されました。
 
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パネルディスカッション・パネリスト:山下満智子氏 
大阪ガス株式会社 大阪ガスエネルギー・文化研究所研究員 、専門は食生活・火と暮らし
映像を交えながら、火離れの現状<かつては火が見えた「ご飯の炊き方:薪」⇒現在は「火が見えない」>を踏まえ、実際の「火育」の取り組みとともに、次世代教育として調理や火の生活文化の継承の大切さを話されました。