Symposium 公開シンポジウム

食の文化シンポジウム2011
わたしたちは何を食べていくのか-食の経済と文化のつながりの中で-

2011年11月12日(土) 13:00 ~ 16:40

テ ー マ わたしたちは何を食べていくのか-食の経済と文化のつながりの中で-
募集人数 250人
締め切り 締め切りました
会  場 味の素グループ高輪研修センター 大講義室
主  催 財団法人 味の素食の文化センター
後  援 味の素株式会社

テーマ 「わたしたちは何を食べていくのか-食の経済と文化のつながりの中で-」
大航海時代以降、地球規模での食物の交換により食の経済が発展し、新たな食文化が生まれ、成長してきました。今日、わたしたちは世界の食を身近に楽しむことができます。画一化し便利になった食がある一方で、多様な地域の食を求める声があります。 グローバルとローカル、食の安心・安全など食をめぐる課題について経済と文化の視点から考えます。
基調講演 「食の経済はどこへ向かうのか」(東京大学大学院農学生命科学研究科准教授 中嶋康博氏)
パネルディスカッション
コーディネーター:南 直人氏(京都橘大学文学部教授)
パネリスト:山 晴一氏(大阪樟蔭女子大学学芸学部教授)
      白田典子氏(有限会社 良品工房代表取締役)
      丸井英二氏(順天堂大学医学部教授)

REPORT

 

食の文化シンポジウム2011
「わたしたちは何を食べていくのか」
 
財団法人 味の素食の文化センターは、11月12日(土)、高輪研修センターにおいて、公開シンポジウム「わたしたちは何を食べていくのか -食の経済と文化のつながりの中で-」を開催しました。 
 
基調講演では、東京大学の中嶋康博准教授が、「食の経済の向かう先」と題し、食の経済の発展を、“胃袋を満たす”から“舌で楽しむ”→“頭で味わう”に進む消費者の食行動を機軸に、そこで生じるさまざまな課題を提示しながらお話されました。そして、課題解決に向けたこれからの食のあり方として、実感と共感、食の信頼に基づく“ハートで食べる”というキーワードを提示されました。 
パネルディスカッションでは、まず、コーディネーターが、コロンブスの交換からはじまる食のグローバリゼーションの歴史的な流れをおさえた後、3人のパネリストが、フランスの食文化と巧みなブランディング、日本における地域商品のプロデユース、そしてわたしたちの食の選択に影響を及ぼす社会の枠組みの変化について発表されました。その後のディスカッションでは、さらなるグローバル化が進む中でのこれからの食について意見が交わされ、食の多様性を前提に、生産者や生産地とのつながり、コミュニケーションを大切にする、“ハートで食べる”段階への方向性が示唆されました。 
 
味の素食の文化センターは、食文化を学際的に考える会員制の研究討論会「食の文化フォーラム」を運営しています。 
食の文化シンポジウムは、フォーラムで議論された内容を中心に、関連する研究成果を一般の方々に広く知っていただくことを目的に開催するもので、今回のシンポジウムは昨年度のフォーラム「食の経済」を基に企画されました。 
また、フォーラムで議論された内容は、書籍として刊行されます。「食の経済」については2011年10月末に発刊されたところです。 
 
味の素食の文化センターでは、今後も公開シンポジウムをはじめ、公開講座、食の文化ライブラリー等の活動を通じ、一般の方々への食文化の普及・啓発に努めていきます。 
 
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基調講演をされる東京大学大学院農学生命科学研究科准教授 中嶋康博氏 
ご自身のフィールドのひとつが東北であることから、震災復興における地元のフードシステムの役割等についても話されました。また、食の信頼向上に対する産官学一体となった取り組み「フード・コミュニケーション・プロジェクト」も紹介されました。
 
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パネルディスカッション・コーディネーター:南直人氏 
京都橘大学文学部教授、専門は西洋史学(ドイツ近代史) 
コロンブスの交換、食の工業化、移民による食文化の伝播等を通じた食のグローバル化とその功罪について話されました。
 
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パネルディスカッション・パネリスト:北山晴一氏 
大阪樟蔭女子大学教授、専門は社会学 
フランス食文化の成り立ちと、ワインを題材に、巧妙な食のブランディングについて説明されました。
 
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パネルディスカッション・パネリスト:白田典子氏 
有限会社 良品工房 代表取締役 
生産者との絆に基づく地域商品の開発・販売をプロデユースするご自身のビジネスを紹介されました。
 
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パネルディスカッション・パネリスト:丸井英二氏 
順天堂大学医学部教授、専門は公衆衛生学 
主として高齢化・少子化を背景にした食に関わる消費行動、社会環境の変化等について説明されました。