『vesta』106号「酒と食」

『vesta』106号

「酒と食」

2017.04.12
特集アドバイザー 髙田 公理(武庫川女子大学 名誉教授)

塩か味噌でも日本酒は飲める。が、本来「肴」は「魚」――そこで和食の雛形を極端に単純化すると「旬の魚と野菜をおかずに米飯を食べる」となる。ここで「米飯」を「米の酒=日本酒」に置き換えると、日本の食と酒の関係の諸相がイメージできる。
 ただ、順序はある。茶懐石なら食事から飲酒に移り、会席なら食事は最後になる。が本来、日本酒以外の酒はなかった。
 一方、一八世紀のイタリアでは食前・食中・食後に異なる酒を嗜む習俗が生まれた。で、食中酒に対応する単語はないが、食前酒は「開く」から転じたaperitivo、食後酒は「消化」から転じたdigestifという単語が登録される。
 こうした彼我の違いを前提に現代の日本と世界における「酒と食」の関係をたずねてみよう。
巻頭:こいつあいけねえ/髙田 郁  
    
Ⅰ 酒と食の考現学
 1 ウイスキーを食中酒にした日本/輿水 精一
 2 チェコとビールの深い関係/クレメントゆみ子
 3 伝統的な「歓待のワイン」/戸塚 真弓
 4 国よりも、通貨よりも。ロシア人が信じる、ウォトカという「水」/高梨 悦子
 5 現代中国における酒と食/西澤 治彦
 6 日本人と飲酒/吉田 元
   <TOPIC>酒食同源の不思議な世界-エチオピア・コンソ社会の食生活-/篠原 徹
 
Ⅱ 異文化に適応する日本酒
 1 米国人に日本酒をきちんと知ってほしい/太田 心平  
 2 イタリア人と日本酒を酌み交わすとき/手島 麻記子
 3 日本酒は香港に根づくのか/芹澤 知広
   <Column>酒を食に-料理に使うお酒/Greg de St.Maurice
 
Ⅲ 酒のない食卓
 1 禁酒法はアメリカの食卓にどんな影響を与えたか/東 理夫
 2 ピザパ栄え、酒宴滅ぶ?-女子大生の新しい聖餐とは-/藤本 憲一
 
Ⅳ 異文化の酒を受容する日本の食文化/髙田 公理
 
<連載>
すべての道は「食」に通ずる -イタリア-/宇田川 妙子
(第1回)「変化のなかのイタリアの食」
和菓子の歴史/青木 直己
(第1回)「縄文クッキーから餅団子」
文明開化の食 『西洋料理通』と河鍋暁斎の記録から(最終回)/森枝 卓士
大食軒酩酊の食文化/石毛 直道
(第35回)「リモンチェロとスピリタス」
旅の記録と食/山本 志乃
(最終回)「幕末志士の母孝行」
文献紹介 カタジーナ・チフィエルトカ+安原美帆著『秘められた和食史』/赤嶺 淳 

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