『vesta』102号「食とからだ・こころ」

『vesta』102号

「食とからだ・こころ」

2016.04.10
特集アドバイザー 川口 幸大(東北大学大学院文学研究科准教授)

人を含めた多くの生き物にとって、食べるとは生きることだ。だから、はるか昔から人は食べることで健やかな生を獲得したいと考えてきた。その積み重ねが、食と身体に関する重厚で精緻な知識と実践の体系へと結実した。いわゆる「医食同源」である。古来より脈々とはぐくまれてきたこの食と身体の古典は、現代の世界ではどのように活きているのだろうか。あるいは、ファストフードやインスタント食品が蔓延する環境で、そんなものはすっかり忘れ去られているのだろうか。今回の特集では、食文化の研究家と人類学者たちが世界各地の食と健康の今を報告する。
巻頭:日本における食の流行と健康関連本/畑中三応子 
    
Ⅰ 日本のくらしと食養生
 1 「摂ろう」と「摂るな」がせめぎ合う健康言説
     ―プロトタイプを中心に近現代を駆け足でたどる/畑中三応子
 2 養生からスローフードへ ―日本における自然食の系譜/門田岳久
 3 沖縄料理の健康法 ―豚を食べ尽くす/比嘉理麻
 <COLUMN>人と人のつながりが育む健康/比嘉理麻
 
Ⅱ 暮らしに根づく医食同源 ―中国広東省の事例を中心に/川口幸大
 
Ⅲ 世界各地のくらしにみる食と健康
 1 身体とともにある食事 ―中国貴州省農村部の事例から/佐藤若菜
 2 マレーシアの健康飲料 ―マレーシアチャイニーズの暮らしから/櫻田涼子
 3 朝鮮半島における「薬食同源」/林史樹
 4 インドにおける身体観と食のタブー/松尾 瑞穂
 5 日々の暮らしに息づくインド古医学 ―アーユルヴェーダの知恵/小磯千尋
 6 ルーマニアの斎戒と農業のリズム/杉本敦
 7 食物アレルギーとスウェーデン社会/佐藤航也
 <TOPIC>ハンバーガーは肉と野菜のバランスがとれるから安心!?/リー ペレス・ファビオ
 
<連載>
アメリカの食とは一体なんなのか(第2回)/東 理夫 
「なぜアメリカ料理は旨くないと言われるのか」
 
<コラム>ペニシリンスープ
食からみるインド史 ―中世から現代まで(第1回)
「「インドの食文化」をいかに語るか」/井坂理穂、小磯千尋
再発見!日本の食-日本のくらしと食のしかけ(第5回)
「燻し小屋の仕掛けと煙のある風景 ―横手市山内地区のいぶりがっこ」/文・二村 悟 写真・小野 吉彦
大食軒酩酊の食文化(第31回)「野菜の漬けもの」/石毛 直道
旅の記録と食(第12回)「鳥居龍蔵・きみ子夫妻のモンゴル探査」/山本 志乃
文献紹介 沼野恭子 編『世界を食べよう!東京外国語大学の世界料理』/岩田 三代

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