『vesta』100号「共食-食のコミュニケーション」

『vesta』100号

「共食-食のコミュニケーション」

2015.10.10
特集アドバイザー 髙田 公理(たかだ まさとし)

およそ40年前、石毛直道は「料理をすること」と「共食をすること」という二つの要素で人間の特質を捉えようと考えた。
むろん生きるためには、人間以外の動物も食べる。ただ、火を使って料理するのは人間だけだ。さらに、その食物を積極的に仲間と分かち合おうとするのも人間だけだ。ここに人間という動物の特質がある。
だが今日、料理をしない人が増えた。調理済みの食品が容易に手に入るからだ。単身の若者や老人、同じ家族に属していても、他の誰かと食事を共にすることのない人も少なくない。
人間は今日、その存在の基本のところで、従来とは異質の存在に変化しつつあるのか。「共食」を多面的に検討することで、人間とその社会の将来を展望したい。
巻頭:vesta100号によせて/石毛直道、熊倉功夫 
   特集を振り返る 
    
Ⅰ 座談会 「共食」を語る/髙田 公理、石毛直道、上野千鶴子、山極寿一
 
Ⅱ 共食の萌芽、展開
 1ヒトらしさの発露としての共食/外山紀子
 2共食の平和力/澤田昌人
 
Ⅲ 世界各地の共食のかたち
 1 辺境編
  ①極北の祝宴-クジラを分かち合い、食べる喜び/岸上伸啓
  ②精霊たちといのちを共食する/武井秀夫
  ③パプアニューギニア・コンビオ社会の共食/梅崎昌裕
 2 街編
  ①食卓におけるコミュニケーション-ドイツ近代史からの一考察/南直人
  ②マンマの料理-イタリアの共食の象徴/山辺規子
  ③テレビドラマでわかる韓国の「ひとり飯」/前川健一
 
Ⅳ 日本における共食のかたち
 1 歴史をたどる
  ①「神人共食」の伝統/神崎宣武
  ②和食の発達と共食/原田信男
 2 近代家庭からみた共食-食のコミュニケーション/江原絢子
 3 独居者たちの共食理論-「尻軽」な街コンからスカイプ飯まで/藤本憲一
 4 さまざまなオケージョンにみる共食
  ①食と外交/松浦晃一郎
  ②地域と人をつなぐ郷土食-真宗の行事における共食/清絢
  ③被災地での料理教室 <企業インタビュー:味の素株式会社>
 
Ⅴ まとめ
  「共食」論の過去・現在・未来/髙田 公理
 
<連載>
再発見!日本の食 日本のくらしと食のしかけ(第3回)
「あまんぼう(干柿)に見る伝統の継承のあり方」/文・二村 悟  写真・小野 吉彦
旅の記録と食(第10回)「山伏の歩く道」/山本 志乃
大食軒酩酊の食文化(第29回)「庖丁式」/石毛 直道
里海のくらしと食文化(最終回)「種をまく日生漁民と魚島サワラの日本文化」/印南敏秀
文献紹介 五島淑子 著『江戸の食の学ぶー幕末長州藩の栄養事情』/東四柳祥子

ご注文はこちら

メルマガ会員限定vestaバックナンバー

無料で登録できるメルマガ会員向けに様々な情報を公開していきます。
このサイトでは、食文化誌『vesta』のバックナンバーの一部や映像の先行公開などをご覧いただけます。

※メルマガ会員サイトのログインID・パスワードは配信メールにてお知らせいたします。