『vesta』92号「生きのびる食」

『vesta』92号

「生きのびる食」

2013.10.10
責任編集 小山 修三


出アフリカを果たしたホモサピエンスは、地球上のあらゆる地に拡散、定住していった。それを可能にしたのはまさしく"生きのびる食"であり、その中心は保存食である。過酷な自然のもと、また、侵略、戦争、航海といったさまざまな環境のなかで、人は工夫を凝らし保存の技を磨いてきた。それらの食品は、長い年月をかけてひとびとの生活の中で育まれ、伝承され、今日では民族の食のアイデンティティともなっている。本特集では"生きのびる食"を世界各地の事例を通じてみていきたい。また、後半では、震災時の食や栄養改善といった今日的かつ普遍的な"生きのびる食"についても取り上げる。個々人の日常に照らして考える機会となれば幸いである。

 

巻頭

暮らしの中の「生きのびる食」
現代社会における「生きのびる食」

 

Ⅰ 「生きのびる食」の軌跡をたどる
  -マンモス・ハンターから宇宙の時代へ-/小山 修三

 

  インタビュー:日本人初の宇宙飛行士が語る「生きのびる食」/秋山 豊寛、小山 修三

 

Ⅱ 古今東西保存の知恵

 

 ①日本1 生きのびる縄文食 -保存食と生野菜-/松井 章

  日本2 保存食が支えた古代国家/馬場 基

 ②スペインと豚肉の保存 -キリスト教世界の境域における食文化-/立石 博高

 ③南米アンデス文明と保存食/関 雄二

 ④家畜の恵みを有効活用して数千年 -草原の知恵-/石井 智美

 ⑤缶詰とオーストラリアの食/五島 淑子

  コラム:アンゴルタモアの悪夢 -ジャガイモ飢饉を生きのびる-/原田 美知子  

 

Ⅲ 現代社会におけるサバイバルな食

 

 ①腹が減ったらどうなるか/角幡 唯介

 ②震災時にみた食のチカラ/石川 伸一

  コラム:救缶鳥プロジェクト -安全でおいしいパンを世界にとどけよう-/秋元 義彦

 ③ガーナ栄養改善プロジェクト -栄養改善で子どもたちの未来を拓く-/編集部

 

[連載]

主人公は何を食べたか(第1回)夏目漱石『坊ちゃん』・「憤激とともに食べよ」/大岡 玲

旅の記録と食(第2回)「女たちの物見遊山」/山本 志乃

東北食文化紀行(第3回)「津軽の人たちが親しんだ食文化」/木村 守克

大食軒酩酊の食文化(第21回)「最後の晩餐」/石毛 直道

生業社会の食文化(第8回・最終回)「パプアニューギニア高地人がサツマイモを食べて筋肉質になるのはなぜか?」/梅崎 昌裕

「食べる人たち」(第24回)「進化・熟成を続けるエスプリ」/ゲスト・石丸 幹二/聞き手・宇田川 悟

文献紹介 中西聡 著『北前船の近代史 -海の豪商たちが遺したもの』/小林 哲

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