Washoku 「和食」文化の保護・継承活動の報告コーナー

里山里海をゆき、能登町の食文化を考える その6

2013年10月01日(火)

REPORT

訪問4日目

「能登町の食文化を考える意見交換会~和食のユネスコ無形文化遺産化活動について知る~」〈3〉地元活動事例発表

続いて能登町の方の事例発表が始まった。地域を訪ね「和食文化を考える」会の中でも、この地元活動の発表はキモ。地域で食文化関係に携わる方々の情報共有が図られ、講師の先生方も交えて参加者全体がエンパワーメントされる機会だ。司会進行は商工会の大黒さん。まずは午前の部から。

◆「『春蘭の里』の活動について」:多田喜一郎さん(春蘭の里)(その3参照)

一番手の多田さん、「皆さんごくろうさまです」と元気な第一声。魚の有名な能登町で山菜・野菜中心に農家民宿が49軒となり、海外の方や日本の修学旅行なども入ってきている地域、として話したい、と。

今、旅行の形態が大きく変わっている。来てくれる方は、ほとんど観光地を回りつくし、グループや家族で思い出を作れるような隠れた地域を訪ねてみたいという。食べ物にしても、スーパーでたいてい手に入る時代。その中で、他で食べられない、スーパーに売っていない物を出す地域が人の興味を引く。自分たちのところの漬物、ご飯、川魚も当然、他所では出ないだろうというものだ。

「やはり料理をする人の心のこもり方も、当然料理に入ってくる。山菜、野菜、川魚を焼くにしても、その家の主人、女将の心がきれいに入らなければ、きれいな色が出ない。その完成された野菜の色、魚の焼き具合の色に、来る客がきちっと反応してくれる」と。

面白いのは、言葉もわからない外国の人が何度も来てくれること。それはなぜか。各家の主人、女将のもてなしの気持ちが、きちんと伝わるから。料理ほど、気持ちを表現できるものはないと語る。

イスラエルの方の例が出された。道を歩き、多田さんたちが食べられると言ったものを摘んできて、天ぷらにしてその場で食べる。食事の風体は違っても、春蘭の里の料理に満足してくれると。それは、京都にあるイスラエルの旅行代理店が、来日する客のほとんどに一泊は体験型(春蘭の里)の日程を入れてくれる、という話からもわかった。

始めた当初は「どう食べてもらうか」だったが、今は違う。自信作をきちんと並べ、どう受け取ってもらうか。食べる食べないではなく、料理の色、気持ち、器も、見てもらうことで、外国の方からもよい評価を得ていると。現在、当地を8000人の方が訪れているという。

さらに力を込めて「食文化で、きちんと地域の特色を出すことが大事」。レベルアップを図るべく、親父の会、女将の会を組織、作った料理を批評し合い、協働して里全体の完成品を目指していると。戦時中の代用食料から料理を再構築する試みもされ、猫じゃらしのお茶やコーヒーの話も飛び出した。それらが、能登町の食文化を面白くし、交流人口を増やすんじゃないかとも。

「どれだけ国や県、町が騒ごうと、その地域の集落に若い者がいて、赤ん坊の声が聞こえなければ、地域再生はならない」。その地域再生のため、地方にしかない食文化を取り入れ、暮らしのぬくもりも伝えることが春蘭の里の今後につながる。それが能登町から奥能登、さらに県、国中に広がり、農村の再生、地域の再生ができればこんなに嬉しいことはない、と最後に多田さんは語った。台湾から来て里に根づいたというワン君(その3に登場)の家に、赤ん坊の声が聞こえる日が待ち遠しくなった。

◆「稲作とブルーベリー栽培に取り組んで」:駒寄美和子さん(柳田建設(株))

二番手で登場したのが駒寄(こまよせ)さん。本業は建設業だが、かたわらお米とブルーベリーの栽培をしている、と自己紹介(パンフによれば「駒寄農場」は奥能登の水源地・鉢伏山のふもとにある)。

まずは、耕地面積から。ブルーベリーが40a、580株で有機JAS認定、米も同じく有機JAS認定が50a、特別栽培米が50a、特別栽培米(オーナー制)が20aで、農家としては大きな規模ではない。しかしそこにはこだわりがあった。

「私たちの栽培の特徴」として3点お挙げる。①豊かな自然の中で生き物と共生する栽培。②化学肥料・農薬は一切使用しない。③オーナー制度を利用した栽培のしかた。この栽培方法について、パワーポイントも用いて例を示しながら説明された。

①の共生について、お米の例から。

最初は田んぼの周りの「江」の生き物。江とは、田をぐるりと囲む用水路で、本来は山から来る冷たい水を一周させることで水温を上げるのが目的という。でも、江を造ることによって中にたくさん草が生え、生き物がいっぱい棲むようになった。黒サンショウウオやオタマジャクシなどなど。

冬場に田の水をはる「冬水田んぼ」。するとイトミミズが増えて有機質が分解されやすくなり、糞も栄養豊富でトロトロ層をつくってくれると。共生は御利益が多いなあ。

ブルーベリー畑も山の中にあり、冬は2m近い積雪という。

②の化学肥料・農薬不使用。

お米は苗づくりからすべて自分たちで管理する。除草剤を使わないので、草取りが大変。除草機も使うが究極は人力のきつい作業だが、社員みんなで励まし合いながらやっている。ブルーべーリーは、柳田村ではもともと農薬は使っていない。

③のオーナー制度。

大阪から来ているという4人家族のオーナーさんを例に、「農家は物を作るのも一番の仕事だが、環境を守っていくことも大事な仕事と教えられた」こと、まるで親戚同士のような温かな交流を紹介。農業の原点に還るということで、オーナーさんと昔ながらの手作業の田植え、稲刈りをしているという。

ブルーベリーのオーナーさんには、収穫祭というご褒美つき。ログハウスで焼くブルーベリーのピッツァはめちゃくちゃ美味しそうだ。

最後に、もともと能登にある美味しい食材にプラスの美味しさとして。「能登の豊かな自然の中で食べるから美味しい」「環境にやさしい安全な作物であるという情報があるから美味しい」「作り手の農家の顔が見えるから美味しい」と。

◆「『なれずし』生産への挑戦」:宮前博人さん(柳田食産(株))(その2参照)

3人目に登場したのは宮前さん。訪問2日目に見学したトンネルのナレズシ貯蔵庫でお会いした方だ。発表は勤務される柳田食産(株)の取り組みについて。

柳田食産では、能登地方に古くから伝わる「アジのナレズシ」製造を手がけている。このナレズシは、鮮魚が手に入りにくい山間部で主に作られてきた。春先に獲れる小アジ(全長15cm程度)を塩漬けするところから始まり、梅雨時を経過することで乳酸発酵した保存食になる。鮮魚が身近になった現在、保存食としての位置づけではないが、7月~10月にかけての祭礼では「ごっつぉう」として振る舞われている。家々で作られ、しかも作り方は一様ではない。各家のナレズシを批評するのも祭りの楽しみ。しかし近年、製造はもとより食べたことのない人も増えてきて、スーパーなどで購入する方がほとんどとなった。

このままでは能登町の伝統食品が失われかねないとの危惧をもち、美味しいと評判のナレズシを作る何人かの方に話を聞き、社として独自のアレンジを加えて製造。また、ブルーチーズのようにクラッカーやワインと合わせるなど、新しいスタイルも提案している。

2年前、発酵食品の研究材料として県からの依頼で提供し、後日「菌が見つかった」との連絡。困ったと思っていたら新しい乳酸菌の発見だった。石川県立大学と金沢大学の共同研究で免疫力アップの効果があるものだと。現在は特許を出願中。日本人の身体にはブルガリアヨーグルトのような動物性の乳酸菌より、ラブレ菌という植物性の乳酸菌が吸収・作用しやすいといわれるが、この菌もご飯と発酵していて植物性。現在、能登から見出された乳酸菌ということで、新しい商品開発を進めている。発酵食品の可能性を示す報告だった。

(大黒さんから、柳田食産さんの提供により、お昼のナレズシ試食が紹介されました。)

◆「ユネスコ無形文化遺産『あえのこと』について」:新出直典さん(能登町教育委員会)

新出(しんで)さんは、文化財担当と自己紹介、冒頭2011年に世界農業遺産となった「能登の里山里海」の評価要素のひとつが、奥能登の「あえのこと」と位置づけた(発表はパワポ、DVD映像、配付資料つき)。

「あえのこと」とは概略、奥能登地方に分布する独特の農耕神事で、その年の収穫に感謝し次の年にも豊作を願うもの。昭和51年に国の重要無形民俗文化財、平成21年にはユネスコ無形文化遺産となった。

語源は、あえ(饗)が「もてなす」、ことが「祭」。地域により「あいのこと」「よいのこと」など多様な呼び方もある。『広辞苑』には「新嘗祭・大嘗祭と同源の民間行事」とあると。

続いて神事の特徴と流れを見る。

田の神様を迎え、あたかも実在するかのように家に招き入れ、もてなすという大筋は変わらないが、各家で神様の特徴や神事も細部の相違が見られ、多様性がある(例えば神様が夫婦あるいは一人、依り代が榊、松、種籾など)。神様に供えたご馳走は、後で皆さんが食べる。年配の方の話では子ども時代「あえのこと」は楽しみだったそうだ(質素な食生活の中で特別のご馳走だったんだろうな)。

神事は2回あり、12月5日(暮れ)に田の神様を迎え入れ、2月9日(春)にお送りする(田の神は家で越年)。

具体的な流れは、映像を見ながら解説された(能登町のHPでも動画が見られます!)。

主人は裃で正装して田に赴き、依り代の榊におのせして神様を家に迎える。暖をとってもらったあと風呂に入ってもらう(榊をお湯に入れる)。ご馳走が準備されている座敷にお連れし膳を勧める。ここで面白いのがもろもろの口上。また、目が不自由とされる神様を気づかい、敷居や段差でも声かけし、お供えの料理なども逐一説明する。神送りの春のあえのことでは、暮れと同様のもてなしをし、田までお送りして豊作を願う。 

まさに、稲作農耕に従事してきた日本人の生活を典型的に伝えるものというのも納得。

食文化としては、稲作儀礼という点はもちろん、お供えなどをみても興味深かった。

一般的にお供えや膳の料理は多く、縁起物、家の畑でとれた物など並べる。二股大根は子孫繁栄、ハチメは口が大きいので収穫される米粒が大きくなるとかいわれもいろいろある(資料参照)。

昭和50年代にはほとんどの農家で行われていたが、近年、後継者不足や人口減少など社会環境の変化に伴い行う家が減少、後世にいかに残すかが今日的課題という。取り組みとして、能登町では公共施設(柳田植物公園合鹿庵)での実演を20年ほど前から一般公開し、講演会なども行っていると。 

奥能登地方は芸能や祭礼、神事などが今も生活の中に息づく地域。「あえのこと」は民俗文化財としてだけでなく、この地に受け継がれている伝統的な食文化としても位置づけられる。つまり伝統的食文化は、民俗に根ざした年中行事と密接な関係があるからと(キリコ祭りの「よばれ」も)。最後に伝統的食文化伝承のためにも、地域の民俗文化財の保存と伝承の取り組みを今後とも行っていきたい、と固い決意が述べられた。

◆魅力満載の〈能登弁〉で昼食

午前の部が終了し昼食タイムとなった。待っていてくれたのは〈能登弁〉(写真)。作り手さん(国民宿舎能登うしつ荘)曰く、「中身だけじゃなくて、いろんなストーリーをつくっていかないとダメかと思い、能登弁(当)に能登弁(方言)をつなぎ合わせてみました」(会場に笑い)。思わずほっこりするようなユーモア。

多彩な食材が工夫された楽しい心づくしのお弁当に皆さん大喜び。「能登ならではの食材というとやはりいしり、独特の風味(クセ)と塩味が強いので、お客さんにはいつも先に特徴を伝えて、特別な味として紹介する」。料理だけでなく、添える言葉が大事というお話に共感。ちなみに、〈能登弁〉にはいしりがいろいろ使われている。柳田食産さんから提供されたナレズシの味見もあり、午後の部への英気も養えた昼食でした。

時間となり、大黒さんの司会で事例発表・午後の部が始まった。

◆「能登町食生活改善推進協議会の活動について」:元平すゑ子さん(能登町食生活改善推進協議会)

元平さんは、3日目の郷土料理実習でもお世話になった能登町食生活改善推進協議会の会長さん、レジュメにそってお話は進んだ。

食生活改善推進員は通称ヘルスメイト(愛称は食改さん)と紹介、まずは会の活動の概要から。スローガン「私達の健康は私達の手で」を合い言葉に、地域における健康づくりに関心を寄せ、食生活改善を主なテーマに、地域に根ざした活動を展開してきた。保育所・小学生を対象とした食育推進のための「おやこ食育教室」、「健康日本21」推進では生活習慣病予防のための事業、高齢者の低栄養予防事業等、また食文化継承のための郷土料理・伝統料理の掘り起こしなど、様々な活動を推進している。目的は、バランスのとれた食生活の大切さを伝え、定着させること。

「食改の歴史はとても古いんです」と元平会長。昭和34年に食生活改善ボランティア活動が始まり、平成17年、3町村合併に伴い「能登町食生活改善推進協議会」となって現在に至り、平成25年度の現会員は206名と。

さらに、食改は全国組織で会員数16万1708名、1388市町村が加入し、結成率は80.7%と素晴らしい数字を披露、ちなみに石川県の19市町村はすべて県の協議会に入って活動していると(福島県新地町の意見交換会でも感じたけれど、食改さんはすごいです!)。

次に、25年度活動計画から2、3の事例を報告。「中学生の里海講座」は海辺と山間部にある中学校の交流事業で、今回は里海にある中学校を会場に、小木地区に水揚げされるイカを使った調理体験を実施。作る過程を互いに教え合う場面もあり、協働の楽しさを味わいながら地元食材への関心を深めたようだと。

「高校生の食育講座」は高校3年生が対象。地域の人とのふれあいを通し、能登町の豊かな食文化への理解を深め、豊かな心を育むことが目的だ。巣立っていく生徒が地元食材に親しみを持ち、伝承の大切さを学んでほしいとの思いでメニュー作りに励む。どちらの講座も、イカといしりを使ったご飯、べこもち作りなど、郷土色豊かな料理がとても好評とのこと。

3つ目が『能登の里山里海 ふるさと自慢レシピ集』の完成だ(平成25年3月)。食改さんたちが、次世代に伝えたい能登町のふるさとの味で、ブリやタラ、山菜など四季折々の里山里海の料理、糠イワシなど保存食、祭り・正月等のおもてなし料理など88品を収録と。このレシピ集を活用し、暮らしの中で失われつつある能登町の豊かな食を守り、次世代に伝承しようと「めざせ! 未来ののとのおばあちゃんになろう講座」を年4回、2会場で開催していると。

今後も206名の会員が仲間同士語り合い経験を共有し合って、地域の食育アドバイザーとしての役割を果たしていきたいと締めくくられた。

◆「能登町における農産物を素材とした特産品開発の取り組み」:仲谷 宗さん(能登町農林水産課)

「昨年から、生産者(農業・水産部門)と製造業者、農協・漁協を交えて、『能登町農林水産物開発調査研究会』を設けた」と第一声。目的は、町の特産品を作って世に知らしめ、能登町の価値を高める、食文化を知ってもらうことだ。話し合いを重ねる中、折角ならとより大きな市場を志向し、設備投資の必要などに話が向かってしまった。これでは根本目的から外れると、あるフードコーディネーターの方を講師に迎え、町の自慢商品の試食会を行った。もっと少量で高価格でもよいというくらい高い評価をもらったが、結局どう進めていけばいいかが見えてこない。そこで紹介されたのが島根県のある町だったと。

そこでは、生産・製造者はもとより、各種団体が加わり町全体で特産品作りに取り組んでいた。出雲大社に近い地域で、特産のトウガラシを「オロチの爪」のネーミングで売りだし、トウガラシと卵(養鶏も盛ん)を混ぜた商品作りがされたり。発案の中心になっていたのが女性たち。20代~60代の方が毎週のように「女子会」の名で集まり、アイデアを持ち寄って商品作りを始めていた。いろんなサンプルを見せてもらったが、どれも地元素材を使ったもの。マーケティングや市場への周知の仕方も見事で、出雲大社や八岐大蛇の物語などストーリー性を持たせた商品開発がされていた。

視察内容を研究会で報告、3本くらいの柱を立て商品開発を進めることになった。絞られた柱の第1が「乾燥野菜プロジェクト」。捨てられてしまう規格外や虫食い野菜への“もったいない”精神と、乾燥でうま味が増す特性を生かす。第2が「炊き込みご飯プロジェクト」。旧の能都町(魚)、内浦町(野菜)、柳田村(米)それぞれの特色の融合で、今は炊き込みご飯の素のような形を考えている。第3が「地豆プロジェクト」。“もの作りのために地元を知る”というテーマで豆に特化し、豆料理・素材の調査を食改さんたちの協力を得て行い、豆が地域でどう生かされているか調べたい。正直なところ、まだ成果は出ていない現状という。

「実は今日の意見交換会に参加し、話を聞く中で大きく考えが変わった」と仲谷さん。今まで、どうしても農業振興とか産業面で考え、能登町らしさにあまりこだわらず「多くの消費者に求められる特産品」にウエイトを置いてしまった。やはり、能登町だからこその、だし、うま味、素材、それを取り巻く自然・文化に共感してくれる方、その人に認めてもらえる商品を作っていくべきではないか、と考え方が変わったと。

最後に会場の皆さんに、「試作段階でも構わないので発案や情報提供を」と呼びかけられた。

◆「学校給食における地元食材を使った取り組み」:戸田尚美さん(栄養士)

しんがりは宇出津小学校で栄養教諭をされている戸田さん。パワーポイントを活用した報告だ。

まず給食施設の概要から説明。昨年9月に能登中学校の新築に伴い宇出津小学校の調理場を改装して共同調理場となり、小学校233食、中学173食、計406食を作る。職員は場長を校長先生が兼任、1名の栄養教諭(戸田さん)と6名の調理員で運営。小学校、中学共に全校そろってランチ―ルーム方式という。

 

続いて具体的な取り組みの解説に。第1が昨年度から始まった「お魚給食」。地元の魚の消費拡大と子どもたちに地場の魚のよさを知り、好きになってもらうのが目的だ。県の漁協や水産総合センター、町の農林水産課、教育委員会の協力による。昨年度は7月、10月、1月に能登町の学校が一斉に実施。献立は統一せず、各調理場が独自メニューで同じ種類の魚を提供した。ちなみに宇出津小の調理場ではアジをフライに。付け合わせ野菜も能登町産。ランチルームで石川県漁協の人から、お魚給食のアジについての話も聞く。単に食べるだけでなく、理解を深める場でもあるのだ。10月はハタハタで、1000尾以上を6名の調理員さんが懸命に揚げた「ハタハタの空揚げ」。1月はブリの日で「照り焼き風」。実は共同調理場に焼き物器がなく魚調理は煮るか揚げるか、これは竜田揚げにタレをからめ「風」となったと。

今年度は、5、9、11、2月にスルメイカ(小木漁協から無償提供)、6月アジ、1月ブリ、3月ハタハタを予定。スルメイカは全町の調理場で同日に統一メニューで実施する。5月は酢の物、9月は揚げて、今後は煮物、チリソースなどで。

第2が「食育の日の地場産給食」。毎月19日の食育の日に地元の食材を使った献立を実施する。日頃から地元食材を取り込んでいるが、特にこの日は多く地場産のものを使うようにしていると。メニューの写真を見せながら、主菜や副菜、汁などに使われた地場産品が紹介された。地域食材の豊かさが伝わる。タレにいしりを使う「鶏肉のいしり風味揚げ」って、どんな味だろう。

第3が「古代米給食」。真脇小で行われていた古代米栽培を、統合により宇出津小の5年生が引き継ぎ、収穫された古代米を給食に利用する。ランチルームの扉に古代米について掲示し、校内放送アナウンスも。

第4は「PTA家庭教育委員会との連携」。昨年度は、地産地消をテーマに自慢メニューを募集、それぞれの学校で家庭教育委員会と栄養士がメニューを決定し、給食で実施した。宇出津小の共同調理場では、「ソーメン・カボ・サラ(金糸瓜のサラダ)」「サツマイモのきんぴら」「きのこのドリア風」を作成。調理の器材や時間的問題もあり、なかなか苦労されたようだ。でも、試食した保護者のアンケートでも好評だったとか。

 

最後に、学校給食は衛生管理が厳しく、素材豊富な地域でありながら、地元食材を使う難しさがある点にもふれ(魚の下処理ができない! 野菜も細心の注意が必要)、制約があっても(器材や調理する食数も)より多くの地場産物を使用できるような献立を立てていきたいとの抱負が語られた。(能登町は食材の宝庫と改めて納得。できれば食文化や和食がもっと給食に意識されたらな、と感じました。)(その7に続く)