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魚醤とナレズシ

1982.10-1985.8

韓国
韓国

魚醤、ナレズシとはなにか2

ー魚醤の示す範囲と重要な5つの魚醤ー

魚醤の示す範囲

図●に示したように、石毛直道が示す魚醤とは、塩辛と塩辛からできるものすべてを指し、一般に考えられているよりも広い概念である。
つまり、「塩辛」、「塩辛ペースト」、「塩辛汁」、「魚醤油(さかなしょうゆ)」をすべて合わせて魚醤と呼ぶ。
「塩辛」は既に述べたように塩をした魚を長い期間おき,発酵させることを目的としてつくるものである。
「塩辛ペースト」は「塩辛」をたたきつぶす、すりつぶしたものである。
煮汁などの液体にすぐに溶けるので煮物の調味料などとして使える。
「塩辛汁」は、塩辛を長期間置いておくとできる、塩辛が溶けてドロドロになった汁のことである。
汁にはうまみ成分のグルタミン酸が豊富に含まれるので、「塩辛汁」をすくって調味料として使う。
塩辛をつくる地域ではよく行われる。
「魚醤油(さかなしょうゆ)」は、「塩辛汁」が「塩辛」の副産物として自然にできるのに対して、液体調味料として利用する目的で「塩辛」から意図的につくったものである。
「塩辛汁」がドロドロの状態であるのに対して、濾してあるのでさらりとした液状である。
石毛は,魚醤と区別するため、"さかなしょうゆ"と呼ぶ。
一般にこの魚(さかな)醤油(しょうゆ)のみが魚醤であると捉えられる傾向があるが、実際には魚醤の範囲は広く、状態や用途の異なる「塩辛」、「塩辛ペースト」、「塩辛汁」、「魚醤油」に分類される。

重要な5つの魚醤

アジアでは多種多様な魚醤がつくられているが、魚だけでなく小エビを材料とするものも多い。
魚を原料とするものより濃厚な味がするため好まれる。
小エビを使った「魚(さかな)醤油(しょうゆ)」は、「小エビ醤油」、小エビをつぶしてつくった「塩辛ペースト」は「小エビ塩辛ペースト」となる。
「小エビ塩辛ペースト」は要するにアミの塩辛のようなものである。
石毛は、ナレズシ以外のアジアの魚介類の発酵食品つまり魚醤の製品として重要なものとして、塩辛、塩辛ペースト、魚醤油、小エビ塩辛ペースト、小エビ醤油の5つに分類している。

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