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魚醤とナレズシ
1982.10-1985.8

発酵か腐敗かは文化的概念である
発酵とは有機物の分解と新しい物質の生成がなされることを指す。
腐敗と同じ現象であるにも関わらず、発酵か腐敗かは人間の側の価値観で決まる。人にとって有益ならば発酵,不都合なものであれば腐敗とされる。
それが焼き飯のおいしさの秘訣のようであった。
16世紀後半、日本にやってきたポルトガル人宣教師ルイス・フロイスはその著書の中で、「われらにおいては、魚の腐敗した臓物は嫌悪すべきものとされる。
日本人はそれを肴として用い、非常に喜ぶ」と塩辛について記している。
魚介類の発酵食品を知らない文化に育った人にとっては、塩辛などの魚醤は「魚の腐ったもの」として食用に耐えない、腐敗したものとされることが多いのである。
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