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中国食文化調査

1982.6-1983.3

徳州市

徳州扒鶏

爆という、高熱の油で一気に炒める技術が山東料理のひとつの特色ですが、それとは対照的な扒<パー>という技術を使った料理も山東の名物です。
やわらかくなるまで煮る、とろ火で長く煮込む、という調理法で、有名な山東料理に徳州扒鶏<ダーヂョウパーチー>という、工場で大量生産されるニワトリの煮込み料理があります。
済南から黄河渡ってを北上すること110キロに位置する徳州市は、綿花の集積地で中国の三大紡績地になっています。
扒鶏<パーチー>は徳州市の食品公司管轄下の工場でつくられています。
徳州に来た人は扒鶏を口にしないとおさまらず、徳州市民も正月やお客のあるときは必ず食べるため、1年間に75万羽のニワトリを扒鶏に加工しますが、それでも需要に供給が追い付きません。

正式の名称は徳州五香脱骨扒鶏<ダーヂョウウーシアントウオグーパーチー>といいます。
生後1年以内の若鶏を屠り、血抜き、羽根むしり、骨抜きをします。
手羽の部分をノドからクチバシに通し、色づけの溶液に浸してから油の中に入れて赤褐色に揚げます。
このあと、15種類の香辛料と調味料を配合してある煮汁に入れて弱火で6〜8時間煮込んで扒鶏ができあがります。
肉はやわらかく、包丁で切らずとも箸でちぎることができ、塩味はあまり強くなく、脂気は抜けてあっさりとしていて複雑な香辛料の香りがします。

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