東都高名会席尽
三代目歌川豊国と初代歌川広重の双筆
大判錦絵五十枚揃 藤岡屋慶次郎版
嘉永5年(1852)〜嘉永6年(1853)
『東都高名会席尽』は、江戸後期の嘉永5(1852)年10月~嘉永6(1853)年2月にかけて刊行された、全50枚揃の錦絵です。江戸の名高い会席料理屋50軒に、それぞれ歌舞伎の登場人物に扮した役者が歌川国貞(三代豊国)によって描かれ、コマ絵の中には料理屋の門構え、庭の風景、名物料理などが歌川広重によって描かれています。料理屋名が記されていないのは、幕府の取締りがあって、文字を削らされたようですが、かえって、歌舞伎や謎解きの好きな江戸っ子にとっては、店名を当てる楽しみも増え、大ヒット作品となりました。50枚全揃の所蔵は貴重で、全体を俯瞰することで、あらたな発見がありました。このたび新しい知見のお披露目として公開する次第です。
解説:新藤茂 執筆年:2016年3月9日