
※画像はマウススクロールまたはピンチ操作で拡大・縮小ができます。
百人一首絵抄 卅一
- 絵師:三代目歌川豊国
- 落款:国貞改二代目豊国画
- 時代:天保15年[弘化元年](極印)
- 判・種類:大判錦絵
- 版元:佐野屋喜兵衛(「佐野喜」)
解説
黒塗りの桶を天秤棒で担ぎ、団扇片手に橋を渡る行商姿の女性の姿。桶には「御膳/白玉」とある。夏の食べ物と言えば、ところてんと白玉団子が名物であった。本作では百人一首のうち春道列樹の歌が配される。絵札・字札に「春道列樹 山河にかぜのかけたるしがらみは」「ながれもあへぬもみぢ成りけり」とあり。巻物に見立てた詞書にはその解釈が示されている。「此心はしがの山ごえにてよめるなり。山川の木のはをひまなくふきかけたるが、水のしがらみとなりながれおふせぬてい也。かぜのかけたるしがらみは何ものぞと見れば、ながれもおふせぬもみぢにてありけり。我ととひわれとこたへたる歌のさま也。しがらみいふものは人をして川にかくるものなり。しかるを風のかけたるといふことばめづらしくとの事なり」。太鼓橋を渡る女行商人を志賀の山越えに見立てたか。
執筆者:宮本祐規子
執筆年:令和2(2020)年
管理No.:150
- 関連タグ:
- 菓子・餅
- 白玉