公共財団法人 味の素食の文化センター

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浮世五色合 赤

  • 絵師:3代目歌川豊国(落款に二代目とあるが、現在では三代目とされている)
  • 落款:「応需 国貞改二代豊国画」年玉
  • 時代:弘化元年(1844)
  • 判・種類:大判錦絵
  • 版元:江戸・湊屋小 兵衛

解説

鮪などの赤身魚の刺身を皿に並べている女性。画中の式亭小三馬の戯文は、「赤」尽くしで書かれる。この戯文中に出てくる「あかめ」という魚は白身魚である。戯文には「豊国」襲名の祝意が込められており、下線部は描かれた図と関連する可能性がある。
「赤人は哥の聖にて、赤松は智勇の士なり。酒をあかといひ、愛度時めでたいときは赤の飯。緋扇かざす緋桜とは執着に唄ひ、赤いは赤いは あかいは珊瑚珠かとは、鷲の段に語れり。緋縮緬は色気の第一。花と都の女臈が緋の袴の色ある容には、何某の上人も緋の衣を濡されたり。ましてやはでな当世風。緋鹿子の髷結に、時花はやりの櫛をちよつとさしみの風味よき、中背中肉美人の艶顔かんばせはぢらふ㒵に紅葉する想ひをひめぢの赤手巾あかてぬぐひ―(中略)―あかめは魚の座頭ざがしらにて、赤団子は薬にまさるしるしの大関。赤染衛門の官女より、赤前垂の仲居まで、よく書分し筆意はおそろ寒紅梅。一陽斎いちやうさいに時を得し、師にも勝れる二代の英名。花あり実ある豊国ぬしと、ほめたいまゝの長文句は、身贔屓ならぬあかの他人の、しかも赤本時代より、家翁おやから二代中よりの、睦式亭むつましきてい、小三馬戯述」

執筆者:山下則子

執筆年:平成30年(2018)

管理No.:142

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