公共財団法人 味の素食の文化センター

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白須賀

  • 絵師:葛飾北斎
  • 落款:画狂人北斎画 二川へ二里半
  • 時代:〔文化元年(1804)正月〕(「品 川」備考を参照)
  • 判・種類:小判 摺物 横
  • 版元:不明

解説

この宿駅の西方に猿馬場(さるがばば)という原山の池があり、そこの茶店で商った名物の柏餅(かしわもち)の製造を描いている。古く万治初期の作とみられる『東海道(とうかいどう)名所記(めいしょのき)』三に「猿が馬場、柏餅こゝの名物なり。あづきをつゝみし餅、うらおもて柏葉にて、つゝみたる物也」に見え、『東海道名所図会』巻之三にも「猿馬場の茶店に柏餅を名物とす」と記されている。当図初摺にある狂歌はこの柏餅にふれておらず、わずかに猿馬場の名を出す。「めもとにて春をしらすか腰ほその すかるをとめの前たれ柳 野草菴道人」「はる風かしらすかきねの梅かゝに うくひすならてとまる旅人 竹裡舘直根」「猿曳のさるかはんはに春立て 霞の網や梅の花笠 深草菴早雄」。付りになるが、京都の公家土御門泰邦が東下した折の紀行『東行話説』(宝暦10年正月)は道中名物を試食した作として知られるが、この柏餅はどうもこの人の口に合わなかったらしく酷評されている。

執筆者:鈴木重三

執筆年:平成9(1997)

管理No.:086

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