第2部食育・学校給食の課題と今後の方向性について 京都市での食育の事例

2014年03月03日(月)

講師: 村田 吉弘

REPORT

村田 吉弘 氏
「和食」文化の保護・継承 国民会議副会長、日本料理アカデミー理事長
 

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 いま京都では5回中4回まで米食にしていますけれども、それを5回中5回とも米食にして、牛乳を2時間目と3時間目の間、もしくは放課後に飲ますということを、検討委員会をつくって進めています。抵抗勢力も多くて、なかなか難しいのですが、やはり基本的には「ご飯とみそ汁と漬物、それにたんぱく質と野菜」という和食の給食を出したいと考えています。教育委員会と連動して、市と一緒に食育を進めてきました。今まで、7,150人の子供に食育を実施してきたわけですが、その子たちに「お母さんのつくったもので一番好きなものは何ですか」というアンケートをとったところ、1位ハンバーグ、2位カレー、3位スパゲティー。「和食で好きなのはないの?」と聞くと、「先生、和食って何や」。もう「和食」が滅びてしまうのではないか、文化遺産に登録して保護措置をとらないと、国としての食の文化がなくなってしまうのではないかというふうに感じました。
 「地域食育委員会」という、食育を中心に活動しているアカデミーのメンバーが京都市の教育委員会と連動して、これまでに、286クラス回ってきました。それから第一次生産者の方々、主婦、飲食業界の人などに「食育指導員」(現在約200名)になってもらい、カリキュラムや指導要綱をつくり、一部の方がまずは助手として各学校を回っています。
 小学校の食育教育として、最も大切なのは甘い、しょっぱい、すっぱい、苦い、そしてうま味の五味の味覚教育です。そのため、まずはちゃんとした「だし」を飲ませます。次に、地域の食材がどのようにしてできているか、どんな味がするのかを学ばせます。地域の食材に誇りを持つような子を育てたいですし、地産地消を進める意味でも重要です。
 アカデミーが伝えたいことは、「食べるということは生きるということである」ということ。「いただきますとごちそうさまの精神」。世界中でいただきますと言うのは日本人だけ。そういうことを教えてあげることによって、食材に対する考え方が変わります。また「食べるということは共食であり、他人への配慮、気遣いがおもてなしにつながる」ということも伝えたい。そのため、日本の食文化、日本料理、「和食」というのはどういうふうに構成された料理なのかということを教えています。
 また、現場に行かないと何が起こっているかよく分かりませんので、現場へ行く人をつくることが最も肝心なことだと思っています。今の子供は過去最大の肥満、運動能力の低下、成人病の蔓延などの問題を抱えています。中学生の高脂血症や高血圧など、中高年のような問題も出てきて、それが老人医療を圧迫している。栄養学の考え方の中にもう一度日本的なものを入れて、考え直す必要があると考えています。
 
味覚教育
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食材教育
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料理教育
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