第2部食育・学校給食の課題と今後の方向性について 三条市の完全米飯給食の事例

2014年03月03日(月)

講師: 田村  直

REPORT

田村 直 氏

三条市福祉保健部健康づくり課食育推進室室長

 

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 三条市の給食はまず「お米の質」にこだわっています。7分づきの地元産こしひかりを使用。栽培方法は、基本は農薬化学肥料を半分に減らす特別栽培。そのうちの20%、約30トンは有機栽培米を使っています。

 私が学校給食の栄養士になった昭和50年代半ばは、ほぼ毎日がパン給食でした。余剰米対策として取り入れられた米飯給食は月1回から2回程度であり、アメリカから送られた小麦と脱脂粉乳で始まった給食の王道はパンと牛乳でした。今、日本人の主食であるお米の年間消費量は、ピーク時の半分以下。そして、米消費の減少に反比例するように、病気、特に生活習慣病が増えています。私たちは、米と日本人の健康に深い関係があると考えました。

 ご飯は日本人にとって最適な主食ということがわかっても、大人を変えることは困難です。そこで、行政として介入できる学校給食の完全米飯化に取り組みました。給食の完全米飯化に向けては、さまざまな反対や消極的な意見が出ました。学校の先生からは、「国際化の時代である子供たちがかわいそうだ」「残量がふえる」。また、同僚の栄養士からは、「毎日をご飯にして、子供たちを惹きつける献立をつくる自信がない」。保護者からは「子供の意見は聞かないのか」「大人の政策に子供を巻き込むな」などの声が上がりました。しかし、当時の市長の強いリーダーシップもあり、さまざまな意見を押し切って、学校給食を毎日ご飯にしました。

 完全米飯給食になったことで、給食の残食率は低下しています。また、肥満の子供たちの年次推移を見ると、徐々に減少傾向を示しています。肥満の減少を米飯給食を中心に考えると、「腹持ちのよい米飯給食を残さないで食べる。」→「間食が要らない。」→「夕ご飯がおいしい。」→「夜食が要らない。」→「朝ご飯がおいしい。」→「排便がある」といった具合に、一連の生活リズムがよくなり、結果として肥満になりにくくなったのではないかと考えています。

 昨年11月に開催された三条市子供議会では、11人の子供議員のうち、5人から「月1回でもいいから、パンや麺を復活させてほしい。米粉パンもだめなのか」という要望が出ました。市長は次のように答弁しました。「給食も国語や算数と同じ教育の一環。算数が嫌いだから、算数の授業はなしというわけにはいかないのと同じ。1日3食として、1年間の食事回数のうち、学校の給食はわずか17%でしかない。日本人の体にはご飯が一番いい。学校以外での食事がいつもご飯というなら考えるが、学校外でパンや麺類を食べることが多くなっている中で、学校給食にまでパンを入れるべきではない。米は、粒で食べるから意味がある。米粉にすると栄養の吸収が早くなり過ぎてしまう」。

 給食が原則米飯となって11年目、完全米飯となり6年目を迎えていますが、担当者としては、さらに身を引き締めねばと思っているところです。

 

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