第2部食育・学校給食の課題と今後の方向性について 地域連携について

2014年03月03日(月)

講師: 長島 美保子

REPORT

長島 美保子 氏
公益社団法人 全国学校栄養士協議会会長
 

21.jpg

 地域連携に視点を当てて話します。
 我が国の伝統的な食文化である「和食」がユネスコの無形文化遺産に登録されたということは、大変喜ばしいことだと思っていますが、現実の課題となるのは、「和食」を日常的に大切にして、継承していくという風土が日本の国民全体に果たして根づいているかどうかということだろうと思います。特に、次世代を担う子供たちの食生活の現状を見ると、多様な生活スタイルの中にあって、食事の洋風化が進み、手近にある調理済み食品や、インスタント食品に頼った憂慮すべき実態も確かにあります。農作業などの生産にかかわる体験は希薄であり、自ら料理をつくるという機会も大変少ない。学校給食では、先人の知恵や昔からの食文化のしっかり詰まった郷土食や行事食を取り入れた献立を通して、和食のすばらしさやマナーなどを伝えていこうと日々頑張っています。一方で、やはり子供たちに地域理解や食文化の継承、自然の恵みや勤労の大切さなどを理解させる上での第一義的な役割は家庭にあるので、学校と家庭との連携を密にして、学校で学んだことを家庭の食事で実践するなどして、家庭の食育を機能させる働きかけも必要だと考えています。
 私たちは、地域の産物を積極的に取り入れた学校給食を教材にして、また、食に関する知識や経験を有する地域の人材を有効に活用した食の指導を通して、子供たちの食生活の実践力を育成しようとしているところです。それぞれの地域には、その地域にある気候や風土、産業、文化、歴史などに培われた食材が生産されておりますが、それに伴う郷土食や行事食が伝わりにくくなってきています。また地域の中にある生産とか流通にかかわる仕事や、食育ボランティア、食生活改善推進委員さん等の地域の教育力、あるいは農林漁業者や、その関係団体、公民館等との連携を大事にして、地域の協力を得ながら、学校における食育を進めるということは、大変大きな教育的な効果が期待されています。
 PTA活動との連携も大変重要で、子供から保護者を変えるというような仕組みをつくることも大切だと考えます。地域の保育園、幼稚園、小学校、中学校が連携して、発達段階をつないだ一貫した食育の取り組みを行うということは大変有意義ですし、子供の成長に寄り添っていくには、地域の医療関係者や、専門家等との連携も必要となりますから、日ごろから生産者や団体の状況、地域の食に関する行事等の情報収集を心がけて、食育の支援者のネットワークを構築しておくべきだと考えます。
 私ども栄養教諭は学校における食育推進のかなめとして、家庭や地域との連携を図る役割を担っていますので、そのコーディネート力が今後ますます、学校・家庭・地域連携のキーワードになると自覚しているところです。