里山里海をゆき、能登町の食文化を考える その1

2013年09月28日(土)

主催公益財団法人 味の素食の文化センター
共催能登町商工会

副題に「和食のユネスコ無形文化遺産化活動について知る」と謳った、味の素食の文化センター企画第2弾のレポートです。今回訪ねたのは、石川県能登町。2011年6月、「能登の里山里海」(能登4市4町)として、佐渡と同時に日本で初めて世界農業遺産に認定された地域です。9月28日から訪問、最終日の10月1日には「能登町の食文化を考える意見交換会」が開催されました。それまでの模様を順を追って報告します。

REPORT

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「西から東から能登町に集結。食をめぐる旅がスタートする」

 

能登町へは東京から空路向かった。羽田空港で公益財団法人味の素食の文化センター(以下、食の文化センター)の鈴木郁男専務理事と待ち合わせ、15時発の空旅は1時間、富山湾を眼下に見て、能登空港へ到着。前乗りの飯田祐史事務局長、京都から陸路入られた的場輝佳先生(奈良女子大学名誉教授)、能登町商工会の大黒美憲さんに迎えられた。さっそく2台の車に分乗し、能登町の特産品の一つである「能登牛(のとうし)」の飼育場に向かう。当初予定になかった見学だったが、少しでも能登町の食の現場に触れる機会を、との大黒さんのご配慮で実現し

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たもの。

 

◆「能登牛」の繁殖から手がける柳田肉用牛生産組合

 

空港近くの道の駅「桜峠」で待っていてくれた柳田肉用牛生産組合・駒寄組合長さんの車に先導され、どんどん山道に入っていく。ずいぶん走って登り切ったところは視界が開け、大きな牛舎が見えてきた。

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能登牛は、石川県が誇るブランド牛。黒毛和種の肉牛で、ルーツは兵庫の但馬牛に行きつくという。肉質の等級もA3またはB3以上と決められている。生産頭数が少なく、県産が約600頭、うち能登町では300頭ほどを生産しているそうだ。数からしても、ほぼ県外には出ない貴重な牛肉に違いない。

 

この柳田肉用牛生産組合では、おおよそ食肉用が100頭、繁殖用の牛50頭が飼育されているという。ここでは、石川県肉牛枝肉共励会で優秀賞を取るなど、優れた能登牛が育てられている。出荷が近いという牛の表札(柱に掛かった)を見ると、すでに2年余り飼育されてきたことがわかる。良い環境で大切に育てられたんだなあ。健康には一番気をつかうという。また、BSE問題など、外的な要因にも翻弄される。

 

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牛への餌やりや、仔牛へのミルクやりも見せてもらった。大きなバケツの脇に乳首のような吸い口がついていて、仔牛たちは先を争って飲む。種付けして出産へ。お産が近い牛は24時間モニタリングされ、見守られる。仔牛の段階で売られるものと、成牛まで育てて出荷するもの。ご苦労は多いはずだ。雪の深い地域でもあり、冬は特に大変だろう。

敷地には、牛の供養塔も建てられていた。ああこの育てた命をいただくのだなと、改めて感じ入った。

 

◆「いしりの貝焼き」を能登名物にした宿

 

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柳田地域を後にして、港のある宇出津(うしつ)の街へ。ちなみに、能登町は平成17年、能都町、柳田村、内浦町が合併してできた町で、町役場や商工会館などは宇出津地区にある。宿に荷物を下ろし、さっそくスーパーを探索。さすが「いしり」の町、スーパーの棚も大きいぞ。スーパーは、魚・野菜などの生鮮品や惣菜など、そこの土地柄が品揃えにも出てくるので面白い、必見の場所だ。

 

お世話になる宿は「民宿ふわ」さん。宇出津港の船着き場に面していて、目の前に漁船やイカ釣りの大きな船も繋留されている。海の幸を生かした夕食をいただき、その夜は宿の女将さんを囲み、ここでの暮らしや食などお話を聞くことができた。

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なんとこの宿は、能登名物「いしりの貝焼き」の元祖だという。先代の女将(いまは療養中)が民宿を始め、それまで日常食だった貝焼きをメニューに出して、名物にまで育てたと。元はナスなどシンプルな食材だったものを、イカやキノコ類、ネギなども加えて料理としてグレードアップしたようだ。他にもイカのくちばしを使った料理など、いろいろアイデア豊かに考案されたという。この方の話題は後日、能登伝統食の調理体験の時、食改さんとの交流の席でうかがうことになった。(その2に続く)

 

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