食の文化シンポジウム2017

甘味の世界

2017年08月05日(土) 13:30 ~ 16:30

テ ー マ甘味の世界
募集人数90名(先着順)
参加費用無料
会  場味の素グループ高輪研修センター 中講講義室
主  催公益財団法人 味の素食の文化センター
テーマ「甘味の世界」
砂糖水を新生児の舌に滴下すると嬉しい表情をする。苦味や酸味では嫌な顔をするのと対照的である。・・・基調講演では、甘味と人のカラダとの関係、調理における甘味、ならびに糖のもつ食品科学的性質の活用についてお話しいただきます。座談会形式の後半は、歴史や日本・海外の甘味嗜好の比較の視点も加え、甘味の文化を包括的に考えていきます。
 
プログラム
基調講演Ⅰ
「甘味の生理」伏木 亨(龍谷大学農学部食品栄養学科教授)
 
基調講演Ⅱ
「調理における甘味のデザイン」川崎寛也(味の素(株)イノベーション研究所主任研究員)
 
座談会  
コーディネーター:南 直人(京都橘大学文学部歴史学科教授)
登壇者     :モーリス・グレッグ(トロント大学特別研究員、
                   パリ日仏高等研究センターエアー・リキード研究フェロー)
         伏木 亨
         川崎寛也
 

REPORT

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基調講演Ⅰ「甘味の生理学」伏木 亨氏
甘味のもつ生理的な意味、甘味を感じるしくみ、現代人の甘味嗜好などさまざまな観点から話されました。甘味を嗜好する、嫌悪するメカニズムについての最新情報やコーンスターチや糖など特定の餌に夢中になるマウスの実験映像がテーマへの関心を一層高めました。
 
 
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基調講演Ⅱ「調理における甘味のデザイン」川崎寛也 氏
冒頭、サイエンス=「本質を見える化するための考え方・方法」、デザイン=「本質を見出して意図的にコントロールする」見解を披露。サイエンスを通じて料理をデザインするという考え方に基づき、「甘味の使い方」「おいしさのデザイン」「素材の甘味」「調味料とは何か」という4つの領域に分け、各国の具体例を挙げ特徴を比較しながら説明されました。
 

プレゼンテーション① 
2016年度食の文化フォーラム「甘みの文化」内容紹介 南 直人氏
座談会スタートの前に、本シンポジウムのベースとなった同フォーラムの「甘味へのあこがれ」「甘味の深化」「甘味の魔力」全三回の内容を振り返り、そこでの成果を簡潔にまとめられました。
 
 
プレゼンテーション②
「和食における甘さ:外国人の観点から」モーリス・グレッグ氏
京都をはじめ日本各地のフィールドワークに基づく学術研究に個人的な経験を交え、日本の甘味について話されました。「SAVOY」「SWEET」といった西洋の味や甘さの捉え方にも話が及び、砂糖を大量に使うすき焼き、九州の甘い醤油など「甘いと期待していなかった日本の食」への驚きの体験を含め、地域比較の視点からも話されました。
 
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座談会
コーディネーターが基調講演、プレゼンテーションの内容を振り返り各登壇者へ質問がなされました。その後フロアからの質問に答える形で座談会は進行しました。質問のいくつかをご紹介します。
 
⇒伏木氏(基調講演Ⅰ)
「甘味を好む度合いに男女差はあるか」
「糖質ダイエットの効果や健康上の是非を科学的に評価したらどうなるか」
 
⇒川崎氏(基調講演Ⅱ)
「イスラム教圏への和食の提供の工夫、特にアルコールである味醂の代替品について具体的な実践例はあるか」
 
⇒グレッグ氏
「アメリカやヨーロッパのお菓子と和菓子の甘味について改めて強調したいこと、コメントはあるか」
上記に関し、参加されていた韓国の研究者より、韓国における甘味嗜好、ジェンダーによる違いなどの話題が提供されました。
 
⇒フロアからの質問やコメントを受けての登壇者間のやりとり
「地域や国により甘味に対する感受性に差はあるか」
「関東関西の甘味に対する感受性に違いはあるか」
「わずかな塩味が加わることにより甘味を強く感じるケースがある。例えばスイカに塩。ぜんざいに塩昆布など。”あまじょっぱい”味自体を好むのかもしれない。」
「異文化の食品を受容するに際し、甘味がその媒介になるケースがある。抹茶の世界中への広がりにはアイスクリームやラテなど甘味が関係していたのではないか」