研究報告会

「郷土食」「学校給食」から和食文化の保護・継承を探る

2016年07月30日(土) 13:00 ~ 17:50

テ ー マ 「郷土食」「学校給食」から和食文化の保護・継承を探る
募集人数200名(先着順)
締め切り2016年7月22日(金)
参加費用無料
会  場味の素グループ高輪研修センター 地下大会議室
主  催公益財団法人 味の素食の文化センター 共催:一般社団法人 和食文化国民会議

テーマ 郷土食」「学校給食」から和食文化の保護・継承を探る

 
2013年12月「和食;日本人の伝統的な食文化」がユネスコ無形文化遺産に登録されたことを受け当財団も和食文化の保護・継承活動に取り組み、その一環として2014・15年度に「郷土食」並びに「学校給食」に焦点をあてた調査・研究の研究支援事業を行い、このたびその成果をここに報告させていただきます。
 
 
第一部 郷土食における和食文化の保護・継承の方法
司会・コーディネーター:大久保洋子氏(元実践女子大学教授)
報告者        :中澤弥子氏(長野県短期大学教授)
           :加藤幸治氏(東北学院大学教授)
           :小林 哲氏(大阪市立大学准教授)
発表者による討論(パネルディスカッション)
 
 休憩(15分)
 
第二部 学校給食を通した和食文化の保護・継承
司会・コーディネーター:江原絢子氏(東京家政学院大学名誉教授)
報告者        :糦須海圭子氏(九州女子大学講師)
           :宇都宮由佳氏(青山学院女子短期大学准教授)
           :朴 卿希氏(仁荷大学非常勤講師)
発表者による討論(パネルディスカッション)
 
 
 
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REPORT

平成28年度
「郷土食」「学校給食」から和食文化の保護・継承を探る
 
本研究報告会は、「和食;日本人の伝統的な食文化」が2013年にユネスコの無形文化遺産として登録されたことを受け、当財団が和食文化の保護・継承に貢献する取り組みの一環として、2014年度から2015年度において①「郷土食保護・継承の方法」②「学校給食」を通した和食文化の保護・継承」の二テーマをとりあげ、ご専門の先生方に調査研究をお願いし、その研究成果についての報告会を開催したものです。
 
 
<研究体制>
顧問  熊倉功夫(国立民族学博物館名誉教授)      
    原田信男(国士舘大学 教授)
座長  江原絢子(東京家政学院大学名誉教授)  
副座長 南 直人(京都橘大学教授) 
                         
1. 郷土食保護・継承の方法             
チームリーダー:大久保洋子(元実践女子大学 教授)   
        ◎加藤幸治(東北学院大学 教授)         
         清 絢(京都光華女子大学 研究員)        
        ◎小林 哲(大阪市立大学 准教授)        
        ◎中澤弥子(長野県短期大学教授)        
         南 直人(京都橘大学 教授)          
 
2.学校給食を通した食文化の保護・継承
チームリーダー:江原絢子(東京家政学院大学名誉教授)
         秋永優子(福岡教育大学 教授)
         伊藤美穂(日本女子大学学術研究員)
        ◎宇都宮由佳(青山学院女子短期大学 准教授)
        ◎糦須海圭子(九州女子大学講師)
        ◎朴卿希(韓国仁荷大学 非常勤講師)
◎当日の登壇者
 
 
 
 
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開会挨拶される座長 江原絢子氏
 
研究座長・江原氏から開会の挨拶並びに研究全体の概要の説明の後、報告がなされた。
 
 
 
第一部 郷土食保護・継承の方法
 
チームリーダーの大久保氏より本研究の趣旨について、近年、食生活が社会情勢に対応しめまぐるしく変化する中で、地域文化として継承される意義を見出し、様々の取り組みが実践されているが、本調査では、文献・地域の実態調査をすることにより次世代に継承していくための要因と方法を示す事を目的に行ったものである旨、説明がなされた。
 
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「郷土食」チームリーダー 大久保洋子氏
 
 
1)「日本各地における郷土食の保護・継承の取り組み」(中澤氏)
地域の活動例として東京都(奥多摩町)の「食の文化祭」(中学生レシピコンテストの実施)、千葉伝統郷土料理研究会の活動(太巻きすし・飾りすし)、長野「飯山食文化の会」の活動、「木曽すんき研究会」(すんきコンクール)、また、九州「くまもとふるさと食の名人」(伝承活動に取り組み人の認定)の紹介がなされた。
 
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登壇者 中澤弥子氏
 
 
2)「地域社会の変化と郷土食の保護・継承の現在」(加藤氏)
北海道、東北地方・東日本大震災後の調査から具体例を示された。柔軟に変化・存続してきた郷土食も継承困難な状況。促進・拡張・伝承・再活性化の観点から、「家庭の味」・「地域おこし」・「名物化」・「共食」・「ブランド化」・「認証」・「ワークショップ」をキーワードに話され、また報恩講料理の紹介をふまえ、現代の食文化継承の営みについて皆で考えたいとの報告であった。
 
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登壇者 加藤幸治氏
 
 
3)「郷土食のダイナミズムー地理的拡散と多様化、そして新たな固有性の創出」(小林氏)
郷土食のダイナミズム地理的拡散と多様化で、“たこ焼き”と“うどん”をとりあげ、たこ焼きは業者の開発から家庭に入っていった。うどんは日本各地で独自の発展を遂げる。だし汁との出会いにより独自の発展を遂げたのが大阪のだし汁うどん。大阪では、伝統的なだし汁うどんと讃岐系ニューウエーブうどんの熱き攻防が繰り広げられているとの報告があった。
 
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登壇者 小林哲 氏
 
 
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パネルデイスカッション
 
報告の中で「記録という視点でアーカイブスの提案」に対し、フロアから具体的にはどういう風にしたら良いか?の質問に、レシピのみでなくその時々の食事という視点で残すことが重要と思うとの返答。一方、個々の料理、行動様式を見る事から郷土食の保護・継承が見えて来るのではと言う調査方法への質問などもあり、今後の更なる調査への期待が寄せられた。
 
 
第二部 学校給食を通した和食文化の保護・継承の方法
 
チームリーダー江原氏より、趣旨説明として、1976年米飯給食が導入されて40年、2005年に食育基本法が制定され、2013年にユネスコ無形文化遺産に「和食」が登録され、本研究では全国の献立の現状を「和食」の視点から調査し課題及び解決の糸口を明らかにする目的で行った点と比較の意味で韓国の学校給食も調査した旨の紹介の後、報告に入った。
 
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「学校給食」チームリーダー 江原絢子氏
 
 
1)「米飯給食の視点からみた全国の給食献立の特徴」(糦須海氏)
主食は北海道・東北、中部、中国・四国、近畿の4地方の米飯比率は約70%。関東と九州・沖縄の米飯比率はやや低い。平均米飯給食回数は3.3回で、全国の完全給食実施校の平均(3.4回)に近似。「飯・汁・菜」、給食の組み合わせは、米飯時の汁回数の多い所に着目すると米飯回数も多かった。ヒアリングでは食器が深皿2種と平皿しかない所は煮物など汁気のある菜のときは、飯と菜で深皿を使用するため、汁の提供はできない。
 
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登壇者 糦須海圭子氏
 
 
2)「アンケート調査からみた和食給食の課題」(宇都宮氏)
献立作成時には「栄養バランス」(約9割)、東北・沖縄では「食文化」を考えている率が高い。
郷土料理の実施は96%、その際困る事は「食べた事がない」「大量調理が困難」「材料が高額」、郷土料理をうまく伝えられていない理由:「自身の知識がない」(約5割)、「伝える場がない」(4割)。「和食の無形文化遺産登録後に変わった事」は、和食・郷土料理の回数が増した。栄養士養成科目で「食文化」を必修科目としてカリキュラムに入れてもらいたい。栄養教諭の配置数の改善、食器の見直しなどによって今後食育が更に充実し次世代への食文化の伝承が行われる事を望む。
 
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登壇者 宇都宮由佳氏
 
 
3)「韓国の学校給食にみる伝統食の保護・継承」(朴氏)
韓国の学校給食は、韓国戦争の後、海外から供与の脱脂粉乳を欠食児童に支給したことから始まった。学校給食が全国規模に発展するのは1990年代。余剰米問題、韓国食の見なおし、学校給食に対する社会的ニーズの高まりなどを背景に米飯主食の学校給食が拡大。1998年99.2%。1999年及び2002年には高校生と中学生に対しても実施。キムチはほんどの献立に含まれている。釜山市の高校では飯主食が9割以上。
汁がつく比率は84~85%。頻繁にみられるキムチの種類は白菜キムチ(70%以上)
韓国の学校給食では伝統献立形式に近い食事が提供されているといえよう。
 
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登壇者 朴卿希 氏
 
 
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パネルデイスカッション
 
パネルディスカッションではフロアから活発な質問が行われ、和食文化の保護・継承の具体的な方策について質疑があった。座長の江原氏は、保護・継承するには一人で頑張っても進まないとして、関係する部門の連携の重要性について触れ、事例として越前市の紹介をされた。越前市では地元の産業である越前塗を学校給食の食器に導入するため、行政、栄養教諭、調理師、保護者、企業など関係する分野が連携し、越前塗に耐える食器洗浄機の開発を行った例を紹介された。「食」は変化していく、一つ一つの料理と言う事ではなく食の文化として各地域でそれらを少しずつ考えようと言う流れを感じている。と締めくくられた。
 
討論会の後、(一社)和食文化国民会議会長の熊倉功夫氏より、今後この様な調査・研究が益々行われ和食文化が保護・継承される事を期待する旨の挨拶がなされた。
 
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ご挨拶される国立民族学博物館名誉教授・(一社)和食文化国民会議会長の熊倉功夫氏
 
 

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