第31回 食を通してトルコを知ろう―伝統とノスタルジー

2012年09月08日(土) 14:00 ~ 16:00

講師: 東京大学名誉教授 鈴木 董 氏

締め切り締め切りました
参加費用無料
会  場食の文化ライブラリー講義室 港区高輪3-13-65 味の素グループ高輪研修センター1F

 

トルコ料理は、欧米ではしばしば、世界三大料理の一つといわれる。たしかに、トルコ料理は、ある見方からすれば広大なイスラム圏の食文化の世界における、最も洗練された食文化体系の一つである、ということができよう。元来はユーラシア東北端を原郷とする遊牧騎馬民族であったトルコ人が、民族の伝統を携えつつ、イスラム世界の中核の一部をなすイランを通り抜け、地中海世界に定着していく過程で、トルコの食文化の伝統が形づくられたのであった。本講座では、この過程を回顧しつつ、トルコの食文化の現況も展望してみたい。

REPORT

第31回 食の文化ライブラリー公開講座
「食を通してトルコを知ろう―伝統とノスタルジー」開催レポート


31_01.jpgトルコ料理といえば、美食というイメージがありますが、実際のところ「ケバブ」のほかにどんな料理があるのか、答えられる方は少ないかもしれません。
 

そこで財団法人 味の素食の文化センターは、9月8日、高輪研修センターにおいて、鈴木董氏(東京大学名誉教授)をお招きし、公開講座「食を通してトルコを知ろう―伝統とノスタルジー」を開催しました。

トルコ料理は、フランス料理、中国料理と並んで「世界三大料理」と言われますが、鈴木先生によれば「中東の非常に内容豊富な料理的伝統の一つであるとは言えますので、中東あるいはイスラム圏の代表的料理といえば、トルコ料理は世界三大料理の一つだ、と言えないことはないように思われます」とのこと。先生が40年前、1970年代にトルコに留学された頃、すでに欧米人たちはトルコ料理は「世界三大料理」だ、と言っていたそうですが、当のトルコ人たちは(自分たちの料理が一番だから)そういった表現には関心がなかったようです。もっとも、現在ではトルコ人自ら、トルコ料理は世界三大料理の一つだ、と言うそうです。

講義の前半は、オスマン帝国の歴史も踏まえながら、「トルコ料理の源流と歴史」、「禁酒の世界と甘味の発達」といった伝統的なトルコの食の成り立ちなどについて。

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シロップがかかった甘いパイ、「ヴァクラヴァ」(ピスタチオ入り)


後半は、近代から現在までについて。1980-90年代のグローバリゼーションの影響で、ファストフード店も誕生し、「洋風」の外食が少なくとも都市で急速に普及し、さらにこの10年ほどは、フレンチ、イタリアンの超高級レストランも急増しているとのこと。
同時に一方で、伝統回帰の流れもあり、“宮廷”と“田舎”など「ノスタルジーのもの」も人気があるそうです。
2011年に世界無形文化遺産に認定された「ケシュケク」についても、作るのに手間がかかり、共同体の慶弔で儀礼的共食に供されるもので、レストランではあまり供されないこと、そして認定された背景などもご説明いただきました。

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上流階級から庶民階級まで、トルコの食を知り尽くした講師、鈴木董氏