海外「食」レポート<韓国編>(6)守屋 亜記子

サラリーマンの飲み会風景

 「今や火曜日、水曜日は<酒曜日>」。あるカード会社が会員の決済状況を調べたところ、火曜日、水曜日の決済が最も多かったというデータがある。実際、最近は会社の同僚らとの飲み会は、これらの曜日に行うことが多いようだ。
 
 サラリーマンが仕事帰りに一杯というとき、もっともよく飲まれるのは焼酎である。そして、焼酎によく合う料理の定番といえば、サムギョプサル(豚の三枚肉を使った焼肉)だ。こんがり焼いた豚肉をサンチュ(ちしゃの葉)に包んでほおばり、猪口に入った焼酎をきゅっと飲み干す。牛肉に比べると安価で、一人前7,8千ウォン*1ほどである。サムギョプサルに焼酎を合わせる理由は、安いことと、「豚肉のぎとぎとした脂を、焼酎が洗い流してくれる」からだそうだ。また焼酎は、キムチチゲやアル湯などの辛い汁物との相性もよい。
 
 ビールのつまみの代表格は、さきいかなどの乾き物や果物の盛り合わせ、そして<チキン>だ。大ぶりに切ってからりと揚げたチキンに添えるのは、少し甘めの大根のピクルス。これを箸休めにジョッキを傾ける。日本のビアホールにあたる<ホプ>は、どちらかというと二次会、三次会で利用することが多い。友人が言うには「ホプでのビールは口直し」なのだそうだ。
 
 最近、日本でも人気のマッコルリ(濁り酒)は、民俗酒場のような郷愁を誘う空間で飲まれることが多い。農作業の合間に飲まれたので農酒とも呼ばれ、お腹に溜まる。さながら「飲むごはん」だ。コップや猪口ではなく、サバル(沙鉢)と呼ばれる大きめの鉢で飲む。最良のお供はキムチとパチ”ョン(わけぎを使ったチチ”ミ)だ。ただし、江南(ソウルを流れる漢江の南の地区で、高級住宅地)に住むホワイトカラーの友人などは、1年に1度も飲まないこともあり、最近はワインを飲む機会が増えたという。
 韓国人は共食をとりわけ大事にするが、それはお酒を飲むときにも言える。ひとりでしみじみ飲んでいる姿はまずみかけない。火曜日、水曜日が「酒曜日」なのは、週休二日制の普及と共に、金曜日の夜は家族団らんの時間に当てる人が多くなり、また会社とは関係のない集まりや友人らと飲む機会が増えたからなのである。
 
*1 100ウォン≒約13円(2006年11月時点)