海外「食」レポート<韓国編>(2)守屋 亜記子

韓国におけるコーヒー文化

 ソウル市内のオフィス街にあるシアトル系コーヒーショップや街角のコーヒースタンドでは、午後12時を過ぎるとコーヒーを飲みに来る人々やテイクアウトしようとする人々でごったがえす。韓国には緑茶のほか、柚子茶や高麗人参茶など多種多様な伝統茶があるが、食後の一杯はもっぱらコーヒーという人が多い。

 

 自動販売機で買う紙コップ入りのコーヒーや缶コーヒーもあるが、OLはたいていシアトル系を、サラリーマンはスタンドを利用する。内装がおしゃれで、すわり心地のいいソファーがあり、しかも禁煙であるシアトル系では、エスプレッソやカフェ・マキアートなどのメニューが一杯、4000~5000ウォン(1円=約90ウォン(2005年10月時点)ほどする。キムチやナムルなどのおかずが4,5種類付いたテンジャン(みそ)チゲ定食が一人前約4000~5000ウォンで食べられるソウルで、シアトル系のコーヒーは、昼食一食分の値段に相当する。それでも、衣食にはお金に糸目を付けない若いOLたちはシアトル系へ通う。一方、一杯2000ウォンほどで、タバコを吸いながらコーヒーを飲めるスタンドには、サラリーマンが足を運ぶことになるのだ。

 

 コーヒーは、若い世代だけの飲み物というわけではない。私の調査している老人施設のハルモニ(おばあさん)たちにとっても、日常的なの飲み物である。建物のロビーには、コーヒーの自動販売機が設置されている。価格は一杯200ウォンと、外部の販売機に比べると格安設定だ。また、自室にインスタントコーヒーを常備していて、自分で入れて飲んだりもする。食後に飲むと、胃のあたりがすっきりするのだという。

 

 ハルモニらの世代は、食後の飲み物といえばスンニュン(釜底にできたおこげに湯をそそいだもの)であった。いまや若者のみならず、老人たちにとっても、コーヒーはスンニュンに取って代わる食後の飲み物となったのである。毎日のコーヒー代も馬鹿にならないらしく、ハルモニたちのたっての希望で、今年の秋夕(旧暦8月15日、日本のお盆にあたる)に、施設からハルモニたち一人一人に贈られたプレゼントは、インスタントコーヒー、粉末ミルク、砂糖が一本のスティックに入ったコーヒーミックス200本であった。