087

東海道五十三次 桑名

  • 絵 師:葛飾北斎
  • 刊行年:文化元年(1804)

図は当地の名物焼蛤の製造図。『東海道名所図絵』巻之二に「名物焼蛤 東富田・おぶけ(引用者 記 小向と書(地名)両所の茶店に火鉢を軒端に出し、松毬にて蛤を焙り、旅客を饗す。桑名の焼蛤とはこれなり」とある記述がよく伝える。左の団扇を使う美人は、松毬をいぶした煙が顔にかかるのをさけている。初摺作品の狂歌は三首。「蛤の柱かそふる万歳に しっくり口もあはす才蔵臥龍亭梅道」「名物の時雨はまくり去年となりて 楼閣をふく春のうらゝか 昔庵片儀」「小袖さへ桑名のさとのをみたならは はまくりつまにはるのぬひそめ 松千代成」第一首は桑名の蛤が貝合わせの貝として、口がうまく合うことを踏まえる。第二首の「時雨蛤」は前掲『東海道名所図絵』に「時雨蛤 秋より春まで漁す。初冬の頃美味なるゆえ時雨蛤の名あり」とあるもの。

この絵に含まれるタグ  
錦絵のご利用について