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東海道五十三次 二川へ二里半

  • 絵 師:葛飾北斎
  • 刊行年:文化元年(1804)

この宿駅の西方に「猿馬場(さるがばば)」という原山の池があり、そこの茶店で商った名物の柏餅の製造を描いている。古く万治初期の作とみられる『東海道名所記』三に「猿が馬場、桜餅こゝの名物なり。あづきをつゝみし餅、うらおもて柏葉にて、つゝみたる物也」と記されている。当図初摺にある狂歌はこの柏餅にふれておらず、わずかに猿馬場の名を出す。「めもとにて春をしらすか腰ほその すかるおとめの前にたれ柳 野草庵道人」「はる風かしらすかきねの梅かゝに うくひすならてとまる旅人 竹裡舘直根」「猿曳のさるかはんはに春立て 霞の網や梅の花笠 深草庵早雄」(J1J2)。付りになるが、京都の公家土御門屋泰邦が東下した折りの紀行『東行話説』(宝暦10年正月)は道中名物を試食した作として知られるが、この柏餅はどうもこの人の口には合わなかったらしく酷評されている。
 

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