084

東海道五十三次 金谷

  • 絵 師:葛飾北斎
  • 刊行年:文化元年(1804)

当図ではこの宿の名物「飴の餅」を製する二名の女性を描く。軒先に懸けた、上方の文字を隠した看板がこの食物の由来を暗示する。すなわち「(小夜)の中山 飴の餅」(括弧内は推測)と判読され、「小夜の中山」は、旧東海道の日坂峠から金谷に通じる坂道。ここで妊婦が賊に殺され、彼女の信仰する観世音が霊僧と化して胎児を助け、付近の女性に託して飴により養育。そしてこの子が成人後、仇討を討する伝説。飴はやがて飴の餅となり、『改元紀行』にての名が見え、『膝栗毛』には「名におふあめのもちのめいぶつにて、しろきもちに水あめをくるみて」と製品の大体を示す。街道の名物で、『五街道細見独案内』東海道の部に「日坂嶺 さよの中山 名物 あめのもち 茶屋女すゝめるなり」と載る。初摺品の狂歌もこの名物をふまえて「軒ちかく梅か かなやのあめのもち 鶯はしをうこかす(「はし」は嘴と箸にかける)ナニ軒飛楽」と詠んでいる。

この絵に含まれるタグ  
錦絵のご利用について